「ていねいに」とか、「手間ひまかける」なんて言葉はない。食事作りに行き詰まったら、ドイツの合理的な食卓を思い出して!【日登美のタベコト in Berlin・91】
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ベルリン在住で6人の子どものお母さん。モデルとして活躍する傍ら「台所から子育て、暮らしを豊かに」をコンセプトに、オンライン講座とウェブサイトを主宰している日登美さんによる、「食」からはじまるエッセイです。
めざせ! いいとこどり
ドイツに住み始めて10年ほど経ちますが、文化の違う国に住んでみると、いろんな発見があったなぁと思います。
日本では当たり前なこともドイツでは当たり前じゃない。当然ではありますが、その違いって、実際によその国に住んでみないとなかなか思い当たらないものです。
台所で言えば、まず、ドイツでは朝から火を使った料理はほとんどしません。パンかミューズリー。そしてその主食のパンも、自家製であることは少ないです。お皿を手で洗うこともほとんどなく、ほぼどの家庭にも食洗機があります。
3食ご飯を作るなんていったら、「なんと非効率な!」と言われてしまうでしょうし、同時に羨望の眼差しを浴びるでしょう。
料理は昼に一度だけ、夜は残り物を食べるのが一般的。「ていねいに」とか「手間ひまかける」なんて言葉も存在しない。手作業より機械を使って効率化された料理が多い、というのも特徴かもしれません。だから日本人は誰もがお米を自分で炊けるということが、尊敬に値するのです。
揚げ物を家で作る人もほとんどいません。家でコロッケが出てきたらショックを受けることでしょう(笑)。揚げ物はお店で買ってくるものなのだから。
子どものお弁当は常にサンドイッチ、りんごやにんじんの丸かじりが主流。サンドイッチといってもファンシーなベーコンエッグとかアボカドサラダなどでなく、ブッターブロートと呼ばれる、黒いパンにただバターが塗ってあるだけ、ということが多いです。それが毎日続くのが、ドイツ子どもの基本のお弁当。
まさかーー! と思うでしょ? でもこれがドイツスタンダード。ある意味エコ、よく言えば効率がよく、合理的。悪くいえば食が貧しい。
でもね、だからさ、頑張りすぎないでいいのよ。ご飯が炊けてりゃ、ドイツじゃ上等なんだから。行き詰まったらぜひ、このドイツの食卓を思い出しましょう。これでいいのだ! と思えるはず(笑)。
だけど同時に、細やかな季節をめぐる、美味しい日本のご飯はやっぱりいいなぁとも思います。ドイツ人も日本人はいいなぁ、毎食美味しいご飯食べられて! と思っているしね。だから日本の食卓も忘れたくない。そんなドイツと日本のいいとこどりの食卓を目指す我が家です。
日登美/ひとみ
3男3女6児の母。10代よりファッションモデルとして雑誌、広告等で活躍。その後自身の子育てから学んだ、シュタイナー教育、マクロビオティック、ヨガなどを取り入れた自然な暮らしと子育てを提案した書籍、レシピ本など多数出版。現在はモデルとして活躍する傍ら、オーガニック、ナチュラル、ヘルシーをモットーに、食、暮らしと子育てのワークショップ、オンライン講座などを行う。
台所から子育て、暮らしを豊かに。「Mitte(ミッテ)」
instagram / @hitomihigashi_b
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