2021年10月1日

ドイツの入学準備。お道具箱は靴の箱?【教えて!世界の子育て~ドイツ~】

海外ではどんな子育てをしているの? 日本から離れて子育てをするママたちに、海外でのようすを教えてもらう「教えて! 世界の子育て」。場所や文化が違うと、子育ては違うのでしょうか。日本での子育てや生活と同じこと、違うこと。各国からリアルな声を伝えてもらいます。
ドイツの秋は入学シーズン! 中原さんのお子さんも、今年、小学生になりました。小学生のアイコン・シュールランツェンや、ちょっぴりセンチメンタルな学習机。入学準備から新生活のスタートをレポートしてくれます!

祝!入学

なんということでしょう……。
この間やっと1人でお洋服が着れるようになったばかりだと思っていたリンゼが、もう、もう入学です。子どもの成長のスピードに心がついていきません。自分が子どもの頃、出会う大人がみな「大きくなったね~」「もう1年生なの!」と口をそろえるのを、大人はなぜ同じことを言うのかな、他に言うこと無いんかと生意気に思っていたものです。

今、ようやく言う側の気持ちがわかる。あのとき近所のおばちゃんが、子どもの成長に心から驚き、どれほどの思いを込めて、おめでとうと寿(ことほ)いでいてくれたのかも。子どもたちの成長は水の流れのようにすべらかで、いっこうに待ってはくれません。

ドイツの入学式は木々の葉が色づき舞い始める頃に行われます。入学の華々しさにはやはり花吹雪が似合うのにな、という思いが日本人母の心をかすめます。

入学準備をしよう

入学に先駆けて準備するものがあるのは日本と同じです。
学校からリンゼに届いた長〜いリストにチェックを入れながら、必要なものを揃えていきます。

・Bleistift……鉛筆
・Radiergummi……消しゴム
・Turnschuhe(Weiße Gummisohle)……運動靴、体育館シューズ(靴底が白のもの)
・Buntstifte……色鉛筆
・Füller……万年筆
・Federetui……なんじゃこりゃ。Feder、フェーダー……羽? 羽入れ?

あ! そうか。
昔のヨーロッパでは羽ペンが筆記具の主流だったから、「羽入れ」って名前なのかな? 日本で「筆箱」っていうのと一緒かも。

・Werkzeugkiste……お道具箱。

絵の具や筆洗カップ、工作ノリなどを入れる箱のようです。一緒にリストを見ていた夫が言い出します。

夫「これSchuhkarton(靴が入っていたボール紙の箱)でいいよ〜」
中原「そんな適当でいいの? なんか指定のメーカーでみんなと揃いの箱とかじゃなくて?」
夫「いいのいいの。はい、このアディダスの靴の箱ね〜」学校指定で購入するものは教科書くらいで体操服も図工のセットも各家庭で適当なものを揃えるようです。

く、靴の箱か……。
思っていたより肩の力が抜けた感じなのかもしれない。1年生からさっそく万年筆使うのか〜、体育館シューズのソールの色指定なのは何でなんだろう。内容を追っていくと小さな驚きや聞いたことのない単語が出てきて面白いものです。

あとは揃えたもの全てに、片っぱしから記名、記名、記名!! お名前シールぺたぺたぺたぺた……。

ドイツの入学準備。お道具箱は靴の箱?【教えて!世界の子育て~ドイツ~】の画像1

お店のポップアップは華々しい新学期特集。アルファベットのマグネット、ノート、消しゴム、反射板、交通ルールや学校での生活についての絵本、科目についての本。

ドイツの学習机

ところで、入学したらお勉強しなければならないわけで、そのためには学習机が必要になります。家具屋さんで子ども用の学習机を見てみると……どれもシンプル。

机の上には棚も作り付けのライトも無く、机の天板の下に一つか二つ引き出しがあるくらい。机の高さや天板の角度を変えられるようになっています。

昭和生まれの私は、机の上に何か所も電気がつき、机の上にも下にも本棚や引き出し、はたまた鉛筆削りまで内蔵されているような昭和ゴージャスなキャラクター学習机でしたので、ちょっとびっくりです。
もしかしたら新しいのじゃなくても、学年が上がった子のお古があるかも? と、中古家具情報サイトで近隣を探してみたら運良く「娘が独り立ちしました……木の学習机さしあげます」というちょっぴりセンチメンタルなタイトルの出品を発見。
これは家具屋さんで見たものよりも更にシンプル! 引き出しすらもありませんがとても格好いい。さっそく譲ってもらうことにしました。

ドイツの入学準備。お道具箱は靴の箱?【教えて!世界の子育て~ドイツ~】の画像2

私の思い出の中の学習机と、ドイツの学習机とのギャップ、激しい!

ちょっと傷がついたり汚れたりしてるけど、木の家具のいいところは長く使えるとこと。

ヤスリをかけて汚れを落としていると綺麗になった木肌からいい匂いがしてきます。ニスを塗って乾かしたら傷も汚れもどこかへいってしまいました。木材は古くなったり傷がついたりしても中がきれいなまま生きているので捨ててしまうのは勿体無いのです。譲っていただけてよかったー! 机はこれでよし。あとは引き出しや本棚を周りに揃えないとな。

ドイツの入学準備。お道具箱は靴の箱?【教えて!世界の子育て~ドイツ~】の画像3

自分でやりますヤスリがけ。よいしょ、よいしょ。

ドイツの入学準備。お道具箱は靴の箱?【教えて!世界の子育て~ドイツ~】の画像4

ほらピカピカになったよ!

ドイツの通学は
シュールランツェンで

日本で新1年生のアイコンといえば、大きなランドセル。
ドイツの子ども達はSchulranzenシュールランツェンという大きなリュックを背負って通学します。

ランツェンとランドセル、どこか響きが似ていますね。帰宅して玄関先に放り投げても壊れない、砂場に放り投げても破れにくい、濡れた草むらにうっかり投げても水が滲みにくい仕様になっています。先輩ママに言われました。とにかく丈夫なランツェンにしろと。ポイと投げるのはどの子どもも一緒だから! と。

価格は40~300ユーロ(約5000円~4万円)ほど。ドイツの小学校、Grundschuleグルンドシューレは4年間だけなので、わざわざ新しいものを買わずに兄弟のお下がりを使う子もいます。カバン屋さんだけでなく文具屋さんやスーパーでも売っています。

ドイツの入学準備。お道具箱は靴の箱?【教えて!世界の子育て~ドイツ~】の画像5

売り場の写真です。いろんなバリエーションがあります!

リンゼのシュールランツェンを見せてもらうと、開けたカブセの裏には筆箱をしまえるようになっていて、中も区画が区切られてて、これは開け閉めするだけで心躍るな~! 保冷マットがついた区画もあり、ここには軽食が入るようです。その外側はマグネット対応で自分の好きなおしゃれモチーフを貼り付けられるようになっています。
「リンゼこれがいい! これつけたい!」
「どれどれ、どんなのにしたの?……おおう。……う、海亀かぁ」

ドイツの入学準備。お道具箱は靴の箱?【教えて!世界の子育て~ドイツ~】の画像6

リンゼのシュールランツェンの軽食入れ。この日はチョコレートバーとりんごがおやつです

ドイツの入学準備。お道具箱は靴の箱?【教えて!世界の子育て~ドイツ~】の画像7

海亀のマグネットをぺたり

ドイツの入学準備。お道具箱は靴の箱?【教えて!世界の子育て~ドイツ~】の画像8

売り場にはキャラクターもの、ユニコーン、車、サッカー、馬などがありました。成長するに従って好きなキャラクターや好みは変わります。取り外しできるマグネット、かしこいな!

子どもたちの登校、なんと7時半! 朝の7時半ですよ!
7時から7時半の間に学校に到着せねばなりません。冬のドイツは夜が長く9時ごろになってようやく空が明るくなります。朝7時なんてまだまだ真っ暗、夜の続き。
そんな暗い中を学校に向かわなければならない子どもたちの反射板やライトは身を守る大切なもの。シュールランツェンには反射布が四方八方にあしらってあります。

しかし7時半には子どもを小学校に、ということは、「起こす、着替えさせる、朝食、歯磨き、準備、通学、登校!」これを6歳の新1年生がどれほどの速さでできることか。最初の数週間はリンゼの生活リズムを見ることに終始しそうです。

早起きとお弁当作りと準備を手伝って送り出す毎日の幕開けを前に、ああ、母ちゃんそもそも起きれるんだろうか……。

ドイツの入学準備。お道具箱は靴の箱?【教えて!世界の子育て~ドイツ~】の画像9今回の海外ママは
中原さん
結婚を機に夫の故郷ドイツに来て10年目。趣味はレストラン巡り、庭いじり、手芸などなど。掃除と片付けも趣味になったらいいのになあ……といつも思っています。6歳と4歳の娘たちがいます。#中原ドイツ子育て Instagram @s_vn
シェア
ツイート
ブックマーク
トピックス

ページトップへ