コロナ禍で気づいた。「植物が好き!」を共通項に、世代を超えて人とつながれる。植物観察家・鈴木純さんとだいすけお兄さんが対談。 【だいすけお兄さんのパパシュギョー!・9】
だいすけお兄さんが、パパやママの代わりにさまざまなジャンルの専門家からお話を聞く「だいすけお兄さんのパパシュギョー!」。
第9回のゲストは、街の中で楽しめる、ユニークな植物観察会を主宰している植物観察家の鈴木純さんです。
本誌だけでは伝えきれなかったお話を、webでご紹介します!
インドアな子も、自然の中では走り回っちゃう?
鈴木さん(以下鈴木) 髙橋ゆきさんの「パパシュギョー!」を読んで、「ママもパパもがんばりすぎ」というコメントに「そうだよなあ」と思いました。
今のお母さんもお父さんも、とにかく忙しい。僕は毎日めちゃめちゃ楽しく、子どもの成長を見てますけど、子どもを日々楽しく観察するというのは、実はけっこう難しいことだと思います。
うちの場合は夫婦でフリーランスなので、今はある程度仕事する時間をあきらめて、子ども中心で暮らすことにして。自然の中で幼少期を過ごしてほしいと思い、東京から山の中に引っ越したところです。
だいすけお兄さん(以下だいすけ) 引っ越して、お子さんに変化はありましたか?
鈴木 はい。娘(3歳)を見ていると、子どもって、もしかして空間に応じて自分を変えられるのかな、と感じています。
東京にいるときはやっぱり家も狭いし、「危ないよ」って言いながら道路を歩いて、公園に着いてやっと遊べる、みたいな。だけど今は、山に行けばたいていどこで遊んでもいいし、道路に出ても車もほとんど来ない。で、家も広くなって、子どもを取り巻く空間が全体に広がったんですよね。そうしたら、娘がよく走るようになったんです。
だいすけ ああ、なるほど。
鈴木 以前は家で遊ぶのが好きで、あんまり体を動かすのは好きじゃないのかと思っていたんですけど、今はすっごい動くので、あれは僕の思い込みだったんだなと。空間に合わせて、自分を作ってたのかもしれないなと思ったんです。
僕も、心の持ちようはやっぱり変わって。東京にいるときは「子どもと過ごす時間」と「仕事する時間」との狭間でストレスがあったんですけど、今は、なんだろう、仕事ができなくても、どうでもよくなっちゃったっていうとあれですけど(笑)、あせらなくなっちゃいましたね。
子どもがどうこうっていうより、ヒトがそうなのかなって。「広い空間にいるときと狭い空間にいるときで、ヒトは変わるのかもしれない」っていうのは、今思っていることですね。
だいすけ 確かにそうですよね。本当に。広い、自然が豊かなところに行ったら、走り放題ですもんね。
時代のスピードが速くても、「植物」は変わらずそこにある
鈴木 そうそう。他にもいいなと思っているのは、東京だとやっぱり、歩いていて花を見つけても、なかなかとれない。誰の家のものかもわからないし、マナー的にも難しいですけど、田舎だともうそこらへんにある畑のお花とかは、むしろその畑の人が「とってけとってけ」って言って、いくらでもとれるんですよね。で、それに今、娘はハマってて。ひたすらどっかに行っては、僕の知らないうちにご近所さんからお花をもらってきて、家で適当なコップに入れてるんですよね。
近所の人たちも、ものすごく娘を気にかけてくれて。「娘」と「植物」と「近所の人たち」っていう感じで、植物を間にして地域のつながりができていくわけですよね。
だいすけ ああ、いいですね。今の時代はコロナのこともあって、やっぱり横のつながりってなかなかできづらい。その中でそういう人間関係があるっていうのは、素敵なことですよね。
鈴木 ね、いいなあと思いますね。あと、僕、本当に「植物をやっててよかったな」と思うのは、70代、80代ぐらいの人と、けっこう仲がいいんですよ。植物を一緒に見る仲間がいて。「植物を一緒に愛でてる」という関係性になると、年齢を軽々超えられるんですね。そういう趣味の人があんまり若い人にいないので、友達がどうしても年配の方になるっていうことなんですけど。
今、時代の変わるスピードがすごく速いから、世代ごとに話が全然噛み合わないじゃないですか。だけど植物は変わらないので、どの世代とも話ができる。ある種のツールみたいなものになっているんですよね。そういう意味では、植物、自然っていうもののありがたさを感じます。それはけっこう、人をつないでくれるものになるんじゃないかな。
だいすけ 確かに、植物を見るのに年齢は関係ないですもんね、一切。
そうした世代を超えてのコミュニケーションって、すごく大切じゃないですか。特に子どもたちがいろんな世代の人に関わるのって、とても刺激になると思うんですよね。
かつての、近所のおじちゃんおばちゃんと自然につながれた時代から、核家族化がどんどん進んでいって、なかなか横のコミュニケーションがとれなくなって。
僕も本当に、自分の家庭でも、コンサートでも、たくさんの世代の人たちが集まって触れ合える場所をできるだけ作りたいなって思っているんです。小さいときにいろんな世代の人たちと関わることを習慣にしておけば、大きくなってもそれが当たり前のようになっていく、それっていいですよね。それが植物というどこにでもある身近なものでつながれるなら、最高のツールですよね。
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