2021年9月16日

宮城県・青菜の磯和えは、具材も味付けもアレンジし放題!【おうちでカンタン!郷土ごはん・6】

子育て中は台所仕事がままならないことって、たくさんありますよね。おいしくて栄養のあるものを食べさせてあげたいけれど、とにかく料理する時間がない! レパートリーもマンネリ化! そんなときのお助けメニューにできる“郷土料理”を、さまざまな地域で育ったママたちに教えていただきました。

いつものお浸しに海藻をプラス!
宮城県・青菜の磯和え

海沿いの街・宮城県気仙沼から届いた郷土ごはんは、磯和えというワカメや海苔が入ったお浸し。気仙沼でお浸しといえば、海藻が入ったものが当たり前というから、港町らしい一品です。
「地元だとどこにでもある料理なのですが、考えてみたら、地元以外では食べたことがないんですよね。海苔の香りが青菜のおいしさを引き立ててくれ、ワカメのつるっとした食感で野菜が食べやすくなります。シンプルなのでアレンジもしやすく、家庭によってもさまざまなので、好みの味を見つけてみてください」

今回、郷土ごはんを紹介してくれたのは……
水上静さん
保育士。宮城県出身。保育園で働きながら、ベビーシッターや家事代行として子育て中の家庭をサポートしている。乳幼児のための舞台芸術「ベイビーシアター&チャイルドシアター」のパフォーマーとして作品づくりも。趣味は観劇とコンテンポラリーダンス。

とにかくアレンジし放題の副菜

特産品であるワカメや海苔が豊富な場所で育った水上さんのご実家では、この料理が食卓にのぼらない日のほうが珍しいくらい、いつもそばにある副菜だったそう。普段着ごはんなのでレストランやお祝いの席ではなく、給食に出てきたり親戚の家で食べたりするお料理なのだとか。
「地元では、海苔やワカメは法事などで必ずいただいてくるものなので、東京に出てきてはじめて海苔を買ったとき、“意外と高いんだなあ!”とびっくりしたのを覚えています。ほとんどの家に畑があり、青菜もだいたいそこから採ってきて作るのが定番。作ったお惣菜を近所でおすそ分けすることも日常的だったので、よそのおうちのお浸しが3種類くらい冷蔵庫に入っている、というのも見慣れた光景。でも、それぞれの家庭で見事にぜんぶ味が違っておもしろいんですよ」

水上さんのご実家でいただく、海の幸たっぷりのごはん。

磯和えは、とにかく青菜に海の幸を混ぜれば完成というシンプルさ。青菜はほうれん草の他に春菊や小松菜などでも作り、もやしや茹でたにんじんが入ることもあるのだそう。
「海の幸はワカメや海苔、ツナ、とろろ昆布、桜えび、しらす、かつおぶしなども入れたりします。スタンダードなのはほうれん草とワカメにかつおぶしですが、味つけも麺つゆにしたりぽん酢にしたり、ごま油を入れたりもしますよ。子どものころはかつおぶし削り器でかつおぶしを削ったり海苔をちぎったり、お手伝いが楽しかったのも覚えています」

アレンジ例)
・ほうれん草+しらす+わかめ
・ほうれん草+しらす+わかめ+キュウリ
・春菊+海苔+ごまだれ
・小松菜+とろろ昆布+桜エビ+麺つゆ
・キャベツ+海苔+しらす+ごまだれ

子どもたちが好きになれるお浸し

保育園で働くほかに、子育て中の家庭の家事代行やベビーシッターもする水上さんがよく作るのは、「ほうれん草+ツナ+海苔+麺つゆ+ごま油」の組み合わせ。
「家事代行でお料理の作り置きをするとき、これを作るととても喜ばれて、“ほうれん草が嫌いだったはずなのに、子どもが食べました!”と言われたこともありました。栄養価的にも理想的な副菜なので、ぜひ作ってみてください」

ある日の水上さんの作り置き総菜。いつも野菜が豊富!

それでは磯和えに挑戦してみましょう。今回はシンプルで時間のかからない料理なので、ほうれん草やワカメの下処理をきちんとしてみました。ひと手間かけることで、よりおいしくなりますよ。

まずは簡単に麺つゆベースで
青菜の磯和えの作り方

材料(2人分)
ほうれん草……1束

もやし……1/3袋
生ワカメ……50g
かつおぶし……適量
焼き海苔……1枚(寿司はねサイズ)
麺つゆ……適量

作り方

  1. ほうれん草は熱湯で茹で、すぐに氷水にとってよく冷やしてから軽く絞り、1/3の長さに切る。もやしもさっと茹でておく。
  2. ワカメは熱湯に入れ、ふたたび沸騰したら取り出す。ざるの上であおいで冷ましてから、一口サイズに切る。

ワカメは一度湯通しすることで磯くささが消えるんですよ。

  1. ほうれん草ともやし、ワカメをボウルに入れて麺つゆをよく混ぜる。
  2. かつおぶしをかけ、海苔はガスコンロで少し炙ってからちぎってのせる。

よそいき用にそれぞれを盛りつけても。

ヒトクチメモ

ぬめりのあるワカメが青菜に加わると、ぐっと食べやすくなるという水上さんの言葉どおり、ほうれん草だけのお浸しにはないおいしさを味わえました。メインにどんな料理が来ても合わせやすいのも◎。海苔を炙ってちぎることで香ばしさが一段とアップするので、ここはぜひ省かないでほしいところです。我が家では麺つゆバージョンの他に、オリーブオイルとお塩の組み合わせや、お酢を少したらしたものも作ってみました。でも、子どもたちにはやっぱりツナが入ったものが人気! ツナってすごい威力……! 海苔が大好きなので、海苔もいっぱいかけて食べていました。

パッと作れるのに栄養満点でおいしいって、子育て中には本当に重宝するレシピ。これから冬になっていくと大好きな春菊が旬を迎えるので、春菊の磯和えも楽しみですね。

吉川愛歩
よしかわあゆみ/食のライター・料理家
13歳と5歳の母。暮らしと食のコンテンツ制作に携わり、執筆と料理の仕事をしている。『メスティンBOOK』(山と渓谷社)や『キャンプでしたい100のこと』(西東社)などのレシピ監修も行っている。
https://www.instagram.com/yoshikawaayumi/

 

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