2020年3月6日

佐藤二朗さんロングインタビュー。いつでも家族と芝居には、誠実でありたいと思ってるんですよね

ドラマに映画にひっぱりだこの佐藤二朗さん。俳優のほかにも劇団の主宰や映画監督としても活躍される中、kodomoe 2020年4月号では、佐藤さんが最も大切にされているご家族のことやフォロワー数170万人を超えるツイッターについて語ってくれました。聞き手はプロインタビュアーの吉田豪さん! webではその一部をご紹介します。

さとうじろう/俳優、脚本家。愛知県出身。会社員経験を経て、1996年に演劇ユニット「ちからわざ」を旗揚げ。ドラマ「勇者ヨシヒコ」シリーズの仏役や「幼獣マメシバ」の芝二郎役など、個性的な役で注目を集める。「映画ねこねこ日本史 ~龍馬のはちゃめちゃタイムトラベルぜよ!~」では物語の鍵を握る、平賀源内役でゲスト出演中。

二度書籍化されるほどつぶやきが大人気

――すごく平和なツイッターをやってますね。

そうです! 例えばハリウッドとかだと俳優がけっこう政治とかに物申すじゃないですか。日本は違うでしょ。もちろんそれを顧みずやる人もいると思うんだけど、それだと日本では俳優の仕事ができなくなっちゃうこともあるから。僕のプライオリティとしては一番は家族と芝居なんで、それを守るためにはああいうツイートになりますよね。

――もともとネットには偏見があったそうで。

そうですね、ネットというよりはデジタル的な……よくわかってないんですけど。

――表現が雑ですよ(笑)。

例えばネットは災害時の情報が早いとかあるだろうけど、包丁と一緒で使い方次第だということで。だからそんなにネットがすごくいいもんだとは思ってなかったんです、SNSっていうヤツも。だから自分はガラケーでツイッターやってるんですけど、今フォロワーの数が多いということは応援してもらってるっていうことで。ネットに偏見が多少は……すごくあったわけではないんですよ!

――アンチなわけではなく(笑)。

アンチとかじゃなくて。要するにわかんないから、詳しくないから。「よくわかんないけどネットでしょ、最近の若い人は」ぐらいの感じだったんですけど、こんなに応援してもらえるとは思ってなかったから。

――こんな平和に燃える人はいないですからね。結果、怒るのは奥さんぐらいで(笑)。

いいですね、「こんな平和に燃えるのは二朗さんのツイッターぐらい」って(笑)。

――やっぱり気遣いは相当あるわけじゃないですか。お子さんが小学校に入ってからはあまりツイッターでは触れないようにするとか。

そうそうそう! 小学校に入ったら物心ついてくるんで、僕はかわいいから「下ネタ言った、ウンコチンコ言った」ってよく書いてたけど、小学校に上がったらお友達も物心ついてくるから書くなって妻には言われてます。それでも、たまにこれはっていうときは妻に無断で書いて怒られちゃう(笑)。

――結局まだ書いてるんですよね(笑)。

下ネタじゃなければいいみたいなことを一瞬言ってたこともありましたけどね。

佐藤二朗さんロングインタビュー。いつでも家族と芝居には、誠実でありたいと思ってるんですよねの画像1

息子に仕事を見せるのはまだ迷いがあることも

――それこそ、お父さんの下ネタをお子さんが気にし出す時期が来るかもしれないじゃないですか。「ウチのお父さんいつまでオナラとかウンコとか言ってるんだ」みたいな。

そうですね……僕、「勇者ヨシヒコ(※1)」シリーズで仏の役やってるじゃないですか、ものすごくいい加減な。「ほっとけよ!」とかダジャレ言ったりして。あれを息子に観せるかっていうのは妻とずいぶん話し合いました。
今小学校2年生なんですけど当時は幼稚園で、同級生のお母さんに「うちの子どもも観てますよ」とか言われて、だから観せていいのかなとも思ったんだけど、結果観せてないんです、下品な言葉が出てくるから。だけど、1回勇気を振り絞って仏のところだけ観せたんですよ、ちょっとだけ。そしたら息子は「お父さんなんでこんなにふざけてるの?」って言ったんです。それに対して、妻が「お父さんはふざけるのが仕事なの」っていうふうに言ってましてね、観せてよかったかどうかいまだに結論も出ず、「そうなんだよ」って言いながら、「ん?」と思いました。

――正確には「ふざけるのも仕事」であって、「ふざけるのが」ではないですよね。

そうです! 「のも」って言ってほしかった。ふざけなきゃいけないときもある。

――佐藤さんはイベントとかでマイクを使ってオナラを聞かせたりの伝説がある人じゃないですか。

よく知ってますね、どこを調べ上げたんですか! これは映画「銀魂」のときに、小栗旬、長澤まさみ、福田雄一、僕という4人で東京、大阪、名古屋、福岡と回ったんですよ。名古屋は僕の郷里で、もう80代の僕の両親が来てたんです。でも、行くまでに新幹線の中で小栗とけっこう飲んじゃって酔っ払ってて、オナラが聞こえないのもエンターテインメントじゃないなと思って、「ちょっと待ってちょっと待って!」って言ってブッとやったんですよ、親の前で……変な商売ですよね。別にやらなきゃいいんだけど。

――親御さんの反応はどうだったんですか?

そのあと僕らすぐ移動しなきゃいけなかったんで、オナラのことは何も言われませんでしたけど、母親からはよく「もっとちゃんとしゃべらなあかん!」とか言われてます。でも、「いやそれ仕事だからさあ」って(笑)。

――決して言えてないわけではなくて。

そうそう、言えてないわけじゃなくて。まあ、親はありがたいんですけどね。

――お子さんは仕事のことは把握してます?

例えば今日のヤツ(「映画 ねこねこ日本史 ~龍馬のはちゃめちゃタイムトラベルぜよ!~」)とか、これも子どもが観てる。ディズニーとかピクサーとか、アニメは子どもと一緒に観ても大丈夫じゃないですか。

――ヤバいことも言ってないだろうし。

そうそう。ヤバいことも言ってないだろうし。僕は最初に息子とふたりで劇場デートしたのが「インサイド・ヘッド」っていうディズニーの映画で、「ライオン・キング」も行ったし、「メアリと魔女の花」も行ったし。ただ、僕が俳優で出るものってなかなか子ども向けではない作品が多いので、理解してるかなあ? と思っています。
どうしても息子と街を歩いてても声をかけられることがあるじゃないですか。だから息子にはとにかく、「お父さんが話しかけられるのは、世の中にたくさんある仕事のうちのひとつにすぎないんだけど、たまたま人前に出る仕事だからありがたいことにこういう現象が起きるんだよ」って説明してますけど、役者とか俳優っていう言葉を教えたこともないし、正確にわかってるかどうかはわからないです。どうなんでしょう、もうわかってますかね?

――ある時期が来たら、「なんでみんな僕がウンコとか昔言ってたこと知ってるんだ?」みたいなことになるはずなんですよ(笑)。

ハハハハハハ! ただ、それは今でも「これ書いていいかな、小学校に上がったら書かない約束だけど」って妻に聞くと、「本人に聞け」と。それで息子に「おまえが言ったことツイッターに書いていい?」「うん、いいよ」ってことはあるんで。ただ、それも何万いいねついたとか、そういうことは一切言ってません。嫌だって言ったことは書かないし、いいって言ったことは書いてます。

――自分の発言がとんでもない反響を呼んでることは、さすがにまだわかってない。

ただね、友達に「息子です」とか紹介すると、「あ、これが日本全国で噂の!」とか余計なこと言うんですよ(笑)。「なんでだろう?」って思うかもしれないね。

※1.テレビ東京系「ドラマ24」で放送されていたテレビドラマ。2016年シーズン3で完結。佐藤さんは、主人公たちの旅を導く仏役で出演。Netflixで配信中。

 

INFORMATION

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©️そにしけんじ・実業之日本社/「映画ねこねこ日本史2020」製作委員会

『映画 ねこねこ日本史 ~龍馬のはちゃめちゃタイムトラベルぜよ!~』
歴史上の人物に扮したねこが繰り広げる歴史コメディー。Eテレの人気アニメが映画化。主人公ねこのフクが、おじいちゃんの作ったタイムマシンにうっかり乗り、昔の日本にタイムトラベルしてしまい……。
坂本龍馬と、フクの、ねこ史上最大の冒険が始まる! 佐藤さんは、平賀源内役として出演!

インタビュー/吉田 豪 撮影/キッチンミノル

 

最新号では「ハッキリ言って大好き!」という奥様についてなど、さらにお話が続きます。

佐藤二朗さんロングインタビューのつづきは、2020年4月号でお楽しみください♪

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