2019年10月11日

なかなか寝てくれない我が子……寝かしつけの技を教えて!【保育士さんの“育児のウラワザ”vol.5】

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寝かしつけの方法はその子次第!

――少し体力がついてくると、お昼寝の時間に寝てくれず、夕方や夜に眠くてグズグズしてしまうというお子さんもいます。無理に寝かせようとすると、お布団を蹴って出てきたり、わざと音を出したりして、気をひこうとします。それでも「いまは寝る時間」と寝かせるべきでしょうか?

大竹:保育園では、寝る時間は伝えつつ、起きていてもいいから静かにしようねって伝えてます。朝が遅く、登園時間も遅い子は、睡眠のリズム的に、他の子よりちょっと遅い時間に眠くなる可能性があります。お昼寝の時間になっても、その子が眠くなるまで、ちょっと遊ばせたり、「これで遊んだらお昼寝しようね」って予告をして、見通しを持てるようにします。「寝る」選択肢と「遊んでから寝る」という選択肢から、選ばせてあげるんです。

――「遊んでから寝る」を毎日選んだ場合、遊んでくれないと寝ないという習慣になることも考えられますが、それはその子の生活リズムとして作っていく感じでいいのでしょうか。

大竹:そうですね。まずは大人と子どもの考え方は違うと認識して、子どもに合わせてあげることだと思います。「早く寝なさい!」「もう遊ぶのダメ!」「じゃあ部屋の外で一人で遊んでなさい!」と言うのでは、逆効果です。まずわたしたちは、子どもの気持ちに共感して、嫌だ・こうしたいという事実を理解して、解決策を提案して、向き合えた時間を認めるというふうにします。大人が全部をコントロールしません。ちょっと余地を作って遊ぶことで、気持ちを受け止めてもらえたり、自分がしたいことが認められて満足した後なら、すんなり寝てくれることもあります。見通しが持てるように予告をすることは大事ですね。

――睡眠導入の儀式的なものとして、たとえば「これ読んだら寝ようね」と、保育園では絵本を読んでいるのをよく見かけますが、逆に眠れなくなったりはしないのですか?

大竹:クラスによって、寝る前に読み聞かせをしているクラスと、そうでないクラスがありますね。5歳ぐらいは就学に向けて、あえて寝る時間を減らしていく時期です。体力もついてきて、すぐに眠たくなる感じは少なくなります。なので、コットに横になったら長編の絵本を「今日は何章までね」という感じで読んだりしています。

「エルマーの冒険」や「おしいれのぼうけん」などの冒険ものを読むこともあります。でも、人の声による読み聞かせ自体に、前頭葉をリラックスさせる効果があるそうです。それはお母さんの声じゃなくても、人の声自体にそういう効果があって、安心感を持って眠るということにもつながってくると思います。

わらべ歌をちょっと歌うぐらいの刺激でもいいと思います。「むすんでひらいて」を歌うのに、そんなに美声で盛り上がる必要はないですよね。語り掛けるぐらいでいい。絵本の「桃太郎」でも「おお、鬼がきましたー!!」とオーバーリアクションしてたら、おもしろすぎて眠れない。もう、やり方だと思うんですよ。
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――寝る時は、静かに暗くしたほうがいいとも聞かれますが、寝る時の環境はどうしていますか?

大竹:以前は、あかちゃんを薄暗い中で寝かせておくのがいいとされていましたが、いまは、ある程度の刺激を与えたほうが安心して眠れると言われています。小児科医も、あかちゃんが昼間寝る場合は、少し明るくして、空気の流れがあり、少し音が聞こえる場所がいいというアドバイスしています。

大人の人間だって、真っ暗で、人の声がしなくて、無機質な部屋だと、逆に落ち着かないじゃないですか。何か生活の感じがする場所じゃないと、あかちゃんも逆に命の危険を感じて落ち着かないと言われています。

――そうなんですね。寝かしつけひとつをとっても、やり方や環境の整え方など、いろんな方法を試してみるといいかもしれないですね。

大竹:そうですね。もちろんいろいろやってみても、子どもによっては、甘えっこだったり、神経質だったりで、うまくいかないことはあると思うんです。ご家庭でのお母さんは、愛情を独り占めできる特別な存在。だからこそ、特に絶対的な安心感を求められてしまうこともあります。

でも子どもも成長しながら、大人をよく見ていると感じます。「寝てくれない」という発想をちょっと変えて、お子さんにとって「寝る準備をするお母さんとの時間が楽しい」「一緒に寝ていると幸せな気分になる」と感じるには、どういうふうにしていこうかな、と想像するところから始めてみてもいいかもしれませんね。

POINT
・寝かしつけるときは、まず大人が気持ちを落ち着かせて
・この子にとって「安心感」を得られるのはどういうときなのか観察する
・「遊んでから寝る」「絵本を読んだら寝る」というように、すぐ寝る以外の選択肢も選べるようにする
・急に暗くて静かすぎる場所に移すより、生活感があるほうが落ち着いて寝られる場合も

次回のウラワザは「落ち着きがない子の叱り方はどうすればいい?」です。お楽しみに!
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なかなか寝てくれない我が子……寝かしつけの技を教えて!【保育士さんの育児のウラワザvol.5】の画像5聞き手:日下淳子
くさかじゅんこ/kodomoe編集ライター・元保育士・一児の母。親子と絵本と音楽をテーマに活動中。

なかなか寝てくれない我が子……寝かしつけの技を教えて!【保育士さんの育児のウラワザvol.5】の画像6イラスト:山川あかね
やまかわあかね/イラストレーター・布人形作家。インスタグラムにて育児日記を公開中。https://www.instagram.com/dummpuppe/

 

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