なかなか寝てくれない我が子……寝かしつけの技を教えて!【保育士さんの“育児のウラワザ”vol.5】
家庭で育児をしていると、自分の育児がこれでいいのかのか、心配になることがあります。今回は、「寝つきのよくない子」をテーマに、保育士養成校での指導も行っている保育園園長の大竹龍さんにお話を伺いました。
保育士:大竹龍さん おおたけりょう/認可保育園園長。保育士養成校で講師を務め、柳沢式運動プログラムの視点で「育ち」を捉え、現場から生まれたあそびを交え紹介している。また絵本のスペシャリスト「絵本専門士」として専門的な視点から絵本の魅力を伝える活動や、「絵本男子モデル」としてWEBで絵本読み聞かせ動画、あそび歌の配信や絵本ライブを行っている。 |
保育園で寝ない子には、どうしていますか?
――寝かしつけに苦労しているお母さんの悩みはよく聞きます。抱っこでないと寝ない、ベッドにおろそうとすると起きる、やっと寝てもすぐ目が覚める……。でも保育園では、大人数を最初から布団で寝かせていますよね。寝かしつけはどうしているんでしょうか?
大竹:保育園でも、はじめの慣らし保育のときは、抱っこで寝かしつけもしますよ。みんな家庭環境がバラバラですから、ワンパターンで全員を寝かしつけようというのは、そもそも無理があります。だから、「この子はどういうふうにしたら、安心感を得られるのか」ということを探っていくことを第一にします。
寝ない子というのは、寝ることに安心できないから、抵抗するのだと思うんです。お母さんと体が離れることが不安、いま楽しかった時間が終わってしまうという不安、寝たらお母さんがいなくなるんじゃないかという不安。不安感が強い子は、不安で起きるのに、またすぐ寝かせられて嫌になる、という悪循環もあります。
寝ることに安心できるようになると、横になって、眠らなくても静かにしていられるようになります。抱っこせずに寝る場所をコット(保育園のベッド)に移行しても、自分はいつも見守られている、見守られている中で安心できる環境なんだとわかるようになれば、寝られる子は多いです。小学生になっても抱っこで寝ている人はいませんから、どこかで子どもの心に、寝ても大丈夫という安心感が生まれるのだと思います。
――寝かしつける方法は、どんなバリエーションがありますか?
大竹:まずは、その子その子の寝方をよく観察します。たとえば、背中をトントンたたいたら寝た、頭をなでたら寝た、耳のところをさわったら寝たとか、そういう「どうやったら寝るのかな」というのを考えながら関わっています。大人が寝る時にも、寝る向きや寝る時の音楽など、しっくりくる寝方に個人差があるのと同じです。トントンか、見守りか、歌か、絵本か、その子なりの安心感を見つけて、なるべく同じ時間に、同じ手法で、同じ環境にしてやり続けます。毎日同じリズムの中で行われると「いまは寝る時間なんだな」というのが、次第に子どもたちもわかるようになります。
あとは、どの子にもに共通するのが、大人がまず気持ちを落ち着けて、安心感を得られるようにやすらいだ気持ちで接することですね。ミラーニューロンの法則といって、大人の気持ちがあかちゃんにも伝染するんです。早く寝てほしい! とイライラしていると、それが伝わってしまうというか。お母さんも寝不足で大変だと思うんですが、まずは気持ちを落ち着かせて接してみてください。