絵本作家で評論家の広松由希子さんの連載。毎月、テーマに沿った、おすすめ絵本をセレクトしていただきます！

8月のテーマは「たいそうする絵本」

猛暑お見舞い申し上げます。
おかわりなくお過ごしでしょうか。

夏バテ対策には、
しっかり寝ること。食べること。
そして、動くこと！

だるだるゴロゴロしがちな夏休みですが、
ラジオ体操の季節だし、
ついでにオリンピックも記念して…

インドア派も、読めば
からだを動かしたくなる、
おいっちにと体操したくなる
絵本をピックアップしてみましたよ。

赤ちゃんから、パパママ、ジジババまで、
みんなで元気にお楽しみください。

まずは、ストレッチから始めましょう。
その名も『のばします』です。
ねずみの５人家族といっしょに、
気持ちよくのばしたり、ぐっとちぢめて、まるめたり。

腕を上に、体をぐーんと「のばします」
膝をかかえて、ちっちゃくちっちゃく「まるめます」

あれ？ 今度は、長いめん棒で、
パン生地をぐいぐい「のばします」
こねて、くるくる「まるめます」

あらら？ 次は、大きなシーツを
お母さんが、物干しざおに広げて「のばします」
子どもたちは、くるくるくるまって「まるめます」

いろんな「のばします」と「まるめます」
意外な二拍子の繰り返しで、体と頭のストレッチ。

反対語の動詞がゆかいな
「ちょろちょろかぞくのあかちゃん絵本」は
ほかに『ひらきます』と『あがります』もあります。

『ちょろちょろかぞくの のばします』
木坂涼／作　大森裕子／絵
理論社　本体800円　2005

夏の体操は、海の生き物と。
「エビカニクス」も、もちろんいいけど、
涼しい顔した２羽のペンギンとやる、
「ぺんぎん たいそう」も、やみつきに。

「いきを すって～」
「はいて～」

「くびを のばして～」
「ちぢめて～」

小さいケープペンギンと、大きいキングペンギン。
黄色い背景に、白黒の動きが映えて、
短い足と羽で、よちよちパタパタ。

愛嬌たっぷりの表情と、おぼつかない動きが、
なんともかわいい。
小さい人たちも、親近感をもって
いっしょに、もぞもぞふりふり動き出します。

この体操は、歌もついていて、
動画も公開されています。

楽譜も出ている
福音館書店のサイトは、こちら。
http://www.fukuinkan.co.jp/detail_page/penginexercises.html

『ぺんぎんたいそう』
齋藤槙／作　福音館書店
本体800円＋税　2016

こんどは趣向を変えて、
ぴたっと、ストップモーション。
『あ』に出てくる針金人間を見て、
同じポーズをしてみるのも、面白いかも。

まずは、「あ」と見つけた、
グラスの形をまねして、手を腰にあてて直立。

次は、ホーローのコーヒーポットの注ぎ口をまねして、
「ひょ」と片手を上げたり。

逆さに立てられた、マヨネーズのチューブをまねして、
「よ」とさかだちしたり。

いやいや、むりむり…といいたくなるのも、出てきますけど。
身近なものとたわむれる、針金人間と、
ひとこと感動詞だけの展開は、いろんな遊びに発展しそう。

『あ』
大槻あかね／作　福音館書店
本体800円＋税　2008

首ものばしたし、
腕も足もおしりも動かしたし、
あとは…そうね。しっぽの体操で、しめましょうか。
リズミカルな『しっぽがぴん』です。

「しっぽが ぴん」
「しっぽが たらり」

キツネも、ネコも、カメも、
しっぽがある動物たちが出てきては、
「ぴんも たらりも できるのよ」
と、披露してくれます。

「ぴん ぴん たらり
ぴん たらり」

あなたはできる？ やってみて。
しっぽがない人は、
リボンとか、タオルとか、仮のしっぽをつけて、
「ぴん たらり」
と、遊ぶのもいいと思います。

『しっぽがぴん』
おくはらゆめ／作　風濤社
本体1200円＋税　2015

絵本の体操といえば、
子どもの頃、わたしが好きだったのは、
おなじみ『ラチとらいおん』（マレーク・ベロニカ／文・絵 とくながやすもと／訳 福音館書店）

世界一「よわむし」だったラチに、赤いらいおんが
「つよくなるのには、まず たいそうを するんだよ。こんなふうにね」
と、してみせてくれる、三拍子の体操シーンが大好きでした。

元気になる絵本と、体操で、夏を乗り切りましょう。