2025年5月1日

端午の節句におすすめの絵本『かっぱのこいのぼり』をご紹介【親子の読み聞かせに。今日の絵本だより】

ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめするweb連載「親子の読み聞かせに。今日の絵本だより」。過去にご紹介した絵本の中からピックアップ。親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。今回は、こどもの日の時期に読みたいこちらの絵本をご紹介します。

かっぱのこいのぼり

端午の節句におすすめの絵本『かっぱのこいのぼり』をご紹介【親子の読み聞かせに。今日の絵本だより】の画像1『かっぱのこいのぼり』
内田麟太郎/作 山本孝/絵 岩崎書店 1430円

もうすぐ、こどもの日。
わが家にはおひなさま、よろいかぶと、こいのぼりがあるのですが、飾る係としては一番気分が上がるのが、こいのぼり。
一番出し入れが楽というのもあるのですが、こいのぼりを「空に泳がせる」という発想が好きです。
他の節句人形にはない、特別な開放感。
こいのぼりだけがアウトドア。
『かっぱのこいのぼり』は、そんなわくわくがぎゅっとつまった一冊です。

ここは伊予の国、松山はかっぱまち。
路面電車を真ん中にして並ぶ商店街、笑顔で歩く家族連れや学生たち。
ここが水の底ということをのぞけば、私たちとおんなじ暮らし。
行き交うみんなは、どことなくうきうきしている様子です。
「むりもありません。
 あしたは、五月の あおぞらよりも、もっと もっと
 こころの はれわたる日ですから。」

特別な明日のために、お風呂で体をきれいにするかっぱの家族。
はるばる遠くから、かわうそ一家も訪ねてきました。
さんしょううお、なまずやえび、いろんな水の生きものが集まってきます。
夜が明けて、さあ、いよいよその日になりました。
広場に集まったみんなは、並んでごろりとねころんで……。

私は『かっぱのこいのぼり』を読んでから、「こいのぼり」というとこの本を思い出すようになりました。
それくらい見事な、わあっと息をのむような、クライマックスが待っているのです。
それはもう、こいのぼりってこんなに素晴らしいものだったのかと、ページをめくる手がとまってしまうほど。
ずっと見入ってしまうほど。
ああ、こどもの日は、こんな景色が待っている、かっばまちに行きたいな。

この感動をあなたにも、そしてもちろんこどもたちにも。
ぜひ実物をご覧くださいね。

選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、司書、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。

※こちらの記事は2019年5月にウェブ掲載したものを再編集しています。

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