2023年3月28日

『らんらんランドセル』【親子の読み聞かせに。今日の絵本だより 第357回】

kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子の読み聞かせにこんな絵本はいかがですか。

『らんらんランドセル』
モリナガ・ヨウ/作 めくるむ 1760円

もうすぐ4月、いよいよご入学シーズン。
ピカピカのランドセルがスタンバイしているおうちも多いでしょうか。
日本の小学生のトレードマーク、6年間の相棒になるランドセルは、どんなふうに作られているのでしょう?
『らんらんランドセル』で、その秘密をのぞいてみませんか。

ランドセルの一番最初の始まりは、人工皮革の場合、まず生地を作るところから。
人工繊維の綿を不織布に加工してウレタンを染み込ませ、表面に色をつけ、本革のような凹凸加工を施します。
そうしてできた生地は、大人の背の高さくらいのロールになって、ランドセル工場に届きます。
かつてはランドセルと言えば黒と赤がメインでしたが、最近では皆さんご存知の通り、生地のロールもとてもカラフルなラインナップ。
工場では、生地から型で抜いたパーツを、それぞれ穴を開けたり、折り込んだり、縫い合わせたり。
生地だけでなく、他にもさまざまな金具や底板など、ランドセルにはたくさんの部品が使われています。
その数なんと、約200個!
部品には「かぶせ」「べろ」「さがり」「だるまかん」などなど、ランドセルを使っているお兄ちゃん、お姉ちゃんもきっと「へえ〜っ!」と驚く名前がいっぱい、大人も初耳なものばかりです。
何よりそうしたたくさんの部品が、多くの工程で手作業によって丁寧に組み立てられていることも新鮮です。

1つのランドセルが完成するまで、こんなにたくさんの人の手を介していたなんて。
「ずっとつかうので すごくじょうぶです」
とさらっと書かれた一言に、毎日何気なくしょっていたランドセルに、実はずっと見守られていたようで、じーんとしてしまいました。
ご入学前はもちろん、ランドセルにすっかり慣れてからでも、卒業間近でも。
子どもだけでなく保護者も、贈り主のおじいちゃんおばあちゃんも、ランドセルに縁のあるすべての人におすすめの一冊です。

 

選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。

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