『みそこちゃん』【親子の読み聞かせに。今日の絵本だより 第345回】
kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子の読み聞かせにこんな絵本はいかがですか。
『みそこちゃん』
かとうまふみ/作 あかね書房 1540円
皆さんは、おうちでみそを手づくりしたことはありますか?
みそといえば「寒仕込み」、小寒の日から節分までの「寒の内」に仕込むとおいしくなると言われています。
寒さの厳しい季節は雑菌が少なく、またゆっくり時間をかけて発酵させることで、より深みのある味になるのだそうです。
そんなみそづくりのベストシーズンに、手づくりみそに挑戦したくなる絵本、『みそこちゃん』をご紹介します。
みこちゃんは、おみそしるが大好き。
今日も
「あー、おいしい!」
とおみそしるを味わっていたら、おかあさんが言いました。
「しってる? おみそって、つくれるんだよ」
「ほんと? つくってみたい!」
さあ、みこちゃんが、はじめてのおみそづくりに挑戦です。
まずは、大きなおなべでぐつぐつ煮た大豆を、つぶしていきます。
おかあさんは大きなボウルとすりこぎで、みこちゃんは大豆を袋に入れて、力を込めて、えいっ、えいっ。
次はつぶした大豆に塩と麹を混ぜて、よーく混ざったら、お団子のように丸めます。
これが、みそのもとになるみそ玉。
そのみそ玉をすきまなく容器に詰めたら、あとは涼しいところに置いて、秋になるまでじっくり待ちます。
玄関の棚に置かれたおみそがさみしくないように、みこちゃんは毎日話しかけてあげることにしました。
するとある日、みこちゃんは気がつきました。
「……あれ。
おみその うえに
ちいさいこが いる!?」
ちいさくてまあるい、おみそのあかちゃん。
みこちゃんはその子に「みそこちゃん」という名前をつけて、仲よく一緒に過ごします。
でも季節が移り変わり、秋になると、みそこちゃんはあまり動かなくなって……。
小さなみそこちゃんが教えてくれる、めぐる命のつながり。
おみそづくりの工程だけでなく、発酵食品や腸内環境についても、最初の一歩の学びになるお話です。
選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。