『なっとうかあちゃん』【今日の絵本だより 第299回】
kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。
『なっとうかあちゃん』
苅田澄子/文 マスリラ/絵 講談社 1540円
7月10日は、7(なな)と10(とお)で納豆の日。
発売中のkodomoe8月号「季節の絵本ノート」でも、納豆の絵本を5冊紹介していますが、今回はその中からこちらをピックアップ。
元気な黄色い表紙が目印の、『なっとうかあちゃん』です。
なっとうかあちゃんは、こどもたち100粒をいつもおなかに抱えています。
「あそびに いって くるね。」
と、おなかから元気よく飛び出したこどもたちを、迷子になっては大変と、おはしでぐるぐるかき混ぜます。
そうしたらみんな白く太い糸でくっついて、ふ~わふわのね~ばねば。
これでもう、ばらばらの迷子にはなりません。
ある朝、かあちゃんが寝坊したら、
「おや。こどもらが いない。」
おなかがからっぽなことに気がついて、あわてて駆け出します。
今日はかあちゃんとこどもたちみんなで、大事なお仕事も待っているのです。
「こどもら こどもら どこ いった
さがさねばねば
みつけねばねば
かきまぜねばねば~!」
こどもたちはみんな、飛び出していった先で好き放題。
糸でしっかりつながって、こねずみきょうだいの電車ごっこのロープになっていたり、くもの巣の隣になっとうの巣を作っていたり。
立派なねばねばの糸をいかしていろんな風に遊ぶ姿に、
「たいしたもんだよ、うちの こは。」
と感心するかあちゃん。
ですが、最後の一粒が見つからなくて……?
やんちゃなこどもを100人も抱えたかあちゃんの、終始タフなパワーに脱帽です。
これはやっぱり、なっとうパワー?
わらで包んで作る、昔ながらの「わらづとなっとう」を知っている人なら、かあちゃんの頭とおなかのデザインに「なるほど!」ですよね。
(知らない人は、ぜひ検索を。)
「ねばねば」「ねばねば」が癖になる、愉快な一冊。
読んだら絶対、なっとうをぐるぐるねばねばと、かきまぜたくなりますよ。
選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。