『おむすびころりん はっけよい!』【今日の絵本だより 第266回】
kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。
『おむすびころりん はっけよい!』
森くま堂/作 ひろかわさえこ/絵 偕成社 1540円
1月17日は、おむすびの日。
1995年1月17日に起こった阪神・淡路大震災で、ボランティアによるおむすびの炊き出しが人々を助けたことから、その温かい心の象徴として記念日とされたそうです。
(ちなみに「おにぎりの日」はまた別にあって、6月18日なのだとか。)
今回はおむすびが主役のお話、『おむすびころりん はっけよい!』をご紹介します。
さんかくおむすびと、まんまるおむすびの国。
隣り合うふたつの国は、いつもいがみあっておりました。
さんかくおむすびのとのさまが
「みなのものー。ふじの おやまも さんかくじゃ。
さんかくほど うつくしいかたちが
このよに またと ござろうか?」
と呼びかければ、さんかくおむすびたちは、三角の扇子をふって大喜び。
まんまるおむすびのとのさまが
「みなのしゅう。
おてんとさまかて まんまるや。
まんまるが いちばん えらい。」
と言えば、まんまるおむすびたちは、丸いうちわをふってもりあがります。
そんなある日、ふたつの国の間の畑をめぐって、とうとう争いが勃発。
さんかくとのさまとまんまるとのさまが、相撲で勝負することになりました。
まわしをしめたふたりのとのさまが土俵に上がり、行司のしゃもじが、
「はっけよ~い」……「のこったー!」
がっぷり四つに組んでの大一番、さあ、軍配の行方はいかに?
お話に登場するおむすびは、総勢400個以上。
うめぼし、天むす、おかかにシャケ、みんなみんないきいき元気で、おいしそう。
昔話のように安心できる味わいで、ほっと満足の読後感。
そして何よりおむすびが食べたくなること、間違いなしの一冊です。
選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。