2021年11月25日

『なんと!ようひんてん』【今日の絵本だより 第254回】

kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。

『なんと!ようひんてん』【今日の絵本だより 第254回】の画像1『なんと!ようひんてん』
石川基子/作 講談社 1540

少し先ですが、1129日は、いい服の日。
いい服といえば、とびきりオリジナルの服がそろっている、素敵なお店がありますよ。
『なんと!ようひんてん』です。

ぼくの家の近所に新しくできたお店、「なんと!ようひんてん」。
「かいてんおおうりだし」
「よそでは うっていないものばかり!!
というチラシを見て、ぼくは早速おじいちゃんと一緒に出かけます。
中に入ると並んでいるのは、キリンブーツに、ヤモリてぶくろ・くつしたセット、スカンクパンツに、おさかなみずぎ。
他にもたくさん、確かによそでは売っていない、なんだか変わったものばかり。

ランドセルならぬ「ランドサル」に、それぞれ気になるものを入れて試着室に入ると、
「えっ、なに?
 これが しちゃくしつ?
コウモリの舞う暗い洞窟に、下へと向かう階段が続いています。
壁の矢印が指す方へ進んでいくと、あれれ、早くもいきどまりで、どうしよう。
「そうだ! しちゃくだ!
 どれだ? これか!?
とおじいちゃんが取り出したのは、ヤモリてぶくろ・くつしたセット。
ぼくがはめると、ぴたりんこと壁にくっついて、垂直な岩壁もすいすいと登っていけます。
上まで登りきったら、そこは、なんと……!

次から次へと「なんと!」がいっぱい、一難去ってまた一難。
思わぬピンチを助けるのは、ふたりが選んだ洋服たち。
ぐいぐいと引っ張られる、ダイナミックなお話と絵の気持ちよさは、さすが「ほしじいたけ ほしばあたけ」シリーズ(講談社)の作者ならではです。
試着室から始まるめくるめく冒険、
「なんと!
「これだ!
と声を合わせて、親子で楽しんでくださいね。
見返しの「なんと!カタログ」には、「ダンゴムシューズ」「タコスカート」「ブタウス」など、不思議なものがいっぱい。
「どれがいい?」「これ、便利!」と、盛り上がれること間違いなし!

次回も「いい服」がいっぱいの絵本をご紹介します、どうぞお楽しみに。

 

選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。

 

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