
『はにわくん』【今日の絵本だより 第244回】
kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
 こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。
『はにわくん』
 まつながもえ/作 絵本塾出版 1430円
前回は「土偶の日」にちなんで『あっぱれ! どぐうちゃん』をご紹介しましたが……。
 今年は、土器絵本(?)の当たり年でしょうか。
 土偶の後輩、埴輪の絵本も、つい最近発売になりました。
 『はにわくん』です。
「はにわです。ともだち 99にん
  つくりに きました」
 そう言って、ぼくの学校に突然やってきた転校生、はにわくん。
 はにわくんは、「こふん」という大きなお山に住んでいるらしい。
 授業中は、ずっと手をあげている。
 プールの時間は、全然泳げない。
 と思いきや、音楽の時間は、歌に合わせて踊りだす。
 (しかも「きれっきれ」!)
そんな風に、いつでもマイペースなはにわくん。
 でも図工の時間、先生が
 「きょうは ねんどを つかいます」
 と言ったとたん、いきなり粘土に向かって突進!
 何を始めるかと思ったら……。
土偶の後輩、とさらっと書きましたが、土偶は縄文時代(約1万3000年前~約2400年前頃)、一方埴輪は古墳時代(3世紀後半~6世紀頃)に登場したもの。
 埴輪は古墳の上やまわりに置かれましたが、何のために置かれたのか真の目的は不明のままで、古墳に埋葬された権力者を祀るためという説が有力です。
 はにわくんのような人型のものをはじめ、イノシシや犬などの動物型、家型や舟型、円筒型などさまざまなタイプがあります。
 ……と、かつて教科書でも学びましたが、その埴輪に、絵本で再び出会えるなんて。
 しかも、こんなに気になる転校生としてなんて!
 はにわくん、おしゃべりでもなく、いつもほぼ同じポーズなのですが、クラスのみんなが驚きつつも自然に受け入れて、人気者になっている様子が微笑ましいのです。
 さあ、はにわくんは「ともだち99にん」できたのかな?
 お話の意外な行先を、絵本で確かめてみてくださいね。
選書・文 原陽子さん
 はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。


































