2021年9月3日

『ポッポポーン』【今日の絵本だより 第235回】

kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。

『ポッポポーン』【今日の絵本だより 第235回】の画像1『ポッポポーン』
たまむらさちこ/作 白泉社 1320円

突然ですが皆様、ポップコーンはお好きですか?
今回は9月3日発売、できたてほやほやの元気な新刊、『ポッポポーン』をご紹介します。

「あおぞらぐみの きょうの おやつは とくべつです」。
おそろいの園服で、わくわくそわそわ、テーブルに並んだ子どもたち。
今から先生が目の前で、ポップコーンをつくってくれるのです。
コーンの粒をおなべにザザーッ、火をつけて、コロコロ コロコロ。
ポン、ポポン、ポポポポ ポン ポン……
ポッポポーン!

おなべから元気よく飛び出したポップコーンに、みんな大喜び。
「わーい すごいぞ!」
「ポッポポーンだ!」
手にしたポップコーンのひとつずつを、
「これ うさぎ みたい」
「これ たこ みたい」
何に見えるかと楽しんでいたら、おや、お皿にぽつんと一粒、不思議な色と形の種が。
はぜなかった粒だから食べちゃだめよ、と先生は言いましたが、
「これ ポッポポーンの たねだ!!」
と、みんなはわくわく。
早速植えてみたら、翌朝本当に芽を出し、どんどんぐんぐん大きくなって、数日後には
「なんだか はぜそう……」!?

『ポッポポーン』は、第9回MOE創作絵本グランプリ受賞作。
作者のたまむらさちこさんは4度目の挑戦でついに、応募作品758点の中からグランプリを獲得しました。
発売中のMOE10月号には、たまむらさんの制作秘話インタビューが掲載されています。
コロナ禍の今だから、子どもたちが「パアッと明るく楽しい気持ちになれる物語を描きたいと思った」というたまむらさん。
子どもたちが見上げる青空に、高く大きくはじけるポッポポーン、どこまでも広がる開放感。
のびやかでさわやかな空気を、ページからぐーんと深呼吸。
たくさんのポップコーンをおやつに用意して、ぜひ親子で一緒にお楽しみください。

千葉・浦安の猫実珈琲店では、2021年9月5日(日)から10月2日(土)まで「ポッポポーン展」を開催。
初日の9月5日(日)にはたまむらさちこさんのサイン会も行われます(要予約)。
詳しくは猫実珈琲店のサイトをご覧ください。

 

選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。

 

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