2021年8月5日

『はーい! タクシー』【今日の絵本だより 第229回】

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kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。

『はーい! タクシー』【今日の絵本だより 第229回】の画像1『はーい! タクシー』
さくらせかい/作 アリス館 1210円

8月5日は、タクシーの日。
それにちなんで、今回はちょっと変わったタクシーの絵本、『はーい! タクシー』をご紹介します。

羽をケガした、テントウムシさん。
「はーい! タクシー」
と呼ぶと、シャクトリムシタクシーが停まりました。
「となりまちの けっこんんしきじょうまで。いそいでー!」
花束を手に、テントウムシさんはシャクトリムシの背中にある座席に乗り込みます。
「はーい!  かしこまりました。シートベルトを おしめください」
さあ、出発ですよ。
「ヨッコラシャク ドッコイシャク ヨッコラドッコイシャク」。
シャクトリムシですから、座席は大きく上がったり下がったり、そしてゆっくりのんびり進みます。
テントウムシさんは
「いそいでー! いそいでー!」
そして、ようやく目的地につきました。
料金は「おおきなはっぱ1まい」です。
「ありがとうシャク。またの ごじょうしゃを」
と、シャクトリムシタクシーは、はっぱのお札をムシャムシャ。
デンデンムシさんの親子、バイオリニストのコオロギさん、ホタルの夫婦、いろんなお客さんがタクシーに乗っては「ヨッコラシャク ドッコイシャク ヨッコラドッコイシャク」。
いつでもどこでも、ゆっくりのんびり進みます。

さくらせかいさんの作品は、『いしゃがよい』(福音館書店)や『うかいのうがい』(ブロンズ新社)もそうなのですが、おまじないのようにリズムのよい言葉が心に残ります。
そうして読み終えると、なんだかまあるく温かい気持ちになる。
そんなところもおまじないに似ているな、と思うのです。
作品全体に、静かな優しさが満ちていて。

そういえば私は今回読み直して、シャクトリムシタクシーの背中で翻弄されるテントウムシさんが、蝶ネクタイを落としていることに初めて気づいたのですが。
その落とし物はそっと解決されていて、「そういうところだよなあ」と、しみじみうれしくなりました。
皆さんもぜひその解決策、見つけてみてくださいね。

 

選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。

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