kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。

『じいちゃんバナナ　ばあちゃんバナナ』
のしさやか／作・絵　ひさかたチャイルド　1320円

8月7日は、バナナの日。
発売中のkodomoe8月号「季節の絵本ノート」では、赤ちゃん絵本から科学絵本まで、バナナの絵本を5冊紹介しています。
その中から、今回はこちらをピックアップ。
表紙からインパクトばっちりの、『じいちゃんバナナ　ばあちゃんバナナ』です。

バナナくんのおうちは、5人家族。
まだ小さくて青いバナナくん、きれいな黄色のおとうさんとおかあさん、それから、すっかり熟していい色になった、おじいちゃんとおばあちゃん。
ご近所のお年寄り仲間、バナエさんはおばあちゃんに、
「あらあら。あなた じゅくして きたわね。」
とにっこり。
バナゾウさんも、おじいちゃんと
「わしらも いい いろに
　なったなぁ。」
と得意げです。

そんなある日、おうちの廊下に、ぬぎっぱなしのバナナの皮が。
どうも、おじいちゃんの皮みたい。
そして、お風呂場から何やら音がすると思ったら……。
なんと、出てきたのは、チョコバナナに大変身したおじいちゃん!
同じく皮を脱いだおばあちゃんは、冷凍室からアイスバナナになって登場です。
バナナくん達が驚いているところへ、
「おーい、いるかーい。」
と訪ねてきたのは、これまたおしゃれに変身した、バナゾウさんとバナエさん。
みんなそろって、「へんしん おいわい パーティー」に出かけます。
そこには、バナナパフェ、バナナマフィン、バナナ大福、見事に変身したじいちゃんバナナとばあちゃんバナナ達がいっぱい。
なるほど、今日は成人式ならぬ、熟バナナ式なんですね!

歳を重ねて、「枯れる」のでなく「熟する」って、なんて素敵なんでしょう。
そう思わせる、じいちゃんバナナとばあちゃんバナナの皆さんの、晴れやかな姿といい笑顔。
「バナナのスイーツって、こんなにあるんだ!」という驚きも。
表紙の皆さんがそれぞれどんな姿に変身したか、見比べて楽しんでくださいね。

選書・文　原陽子さん
はらようこ／フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、ＭＯＥでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。