2021年7月19日

『たいせつなてがみ』【今日の絵本だより 第225回】

kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。

『たいせつなてがみ』
マックス・ベルジュイス/絵・文 のざかえつこ/訳 らんか社 1650円

7月23日は、ふみの日。
ふみの日にちなんだお手紙の絵本は、これまでこちらこちらをご紹介しましたが、今回はこちら。
その名もふみの日にぴったりの、『たいせつなてがみ』はいかがでしょう。

おうさまライオンが、一番の友達、アメリカの大統領に手紙を書きました。
おうさまは、お城で働くワニくんを呼んで言いました。
「だいじな てがみだ。アメリカまで、なるべく はやく とどけてくれ」
ワニくんが、誇りを胸に
「まかせてください」
と手を差し出すと、おつきの者がそれをさえぎりました。
「てがみは ゆうびんで おくったほうが、ずっと はやく とどきますぞ」
そうして、その意見の通り、手紙はポストに入れられてしまいました。

でも、ワニくんは納得できません。
「てがみは ぼくが はこぶんだ。
 だって、あれは おうさまの てがみで、
 ぼくは おうさまの ために はたらいてるんだよ!」
わにくんは、急いで自転車で手紙を追いかけます。
郵便局の車を追って、ジャングル、険しい山、広い砂漠……。
おうさまに仕える者としての矜持を持って、わにくんはひとり、ひたすら前へと進みます。
たどりついた海辺の郵便局で、手紙はすでに向こう岸のアメリカへ送られたと聞いたわにくん。
今度はボートに飛び乗って、何日も漕ぎ続け……、ついにアメリカの摩天楼が見えてきました。

作者は『かえるくんどうしたの』『かえるくんはかえるくん』などの「かえるくん」シリーズ(らんか社)で知られる、オランダの国民的人気作家、マックス・ベルジュイス。
登場人物がみんな少しとぼけた、でも温かさに満ちた空気感は、この『たいせつなてがみ』でもしっかり味わえます。
お城仕えのわにくんがTシャツ姿だとか、砂漠の中の公衆電話とか、アメリカの大統領がぞうだとか、そもそもなんでわにくん、そんなに必死になっちゃうの! とか。
ツッコミどころはいっぱいなのですが、すべてがふふっとほほえましくて、なんだか幸せな読後感。
メールやSNS、いろんな連絡ツールのある現在、こんなふうに命がけで大切に思われる手紙がうらやましくも思えてくるのです。

次回もお手紙の絵本をご紹介します。

 

選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。

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