『みどりのカーテンをつくろう』【今日の絵本だより 第216回】
kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。
『みどりのカーテンをつくろう』
菊本るり子/作 のぐちようこ/絵 あかね書房 1100円
梅雨の季節ですが、晴れた日はそろそろ、日差しも強くなってきましたね。
これからどんどんまぶしくなる夏の日差しをやわらげてくれるのが、植物で作る緑のカーテン。
「今年初めて挑戦する」「いつかは試してみたい」というおうちにぴったりの一冊が、『みどりのカーテンをつくろう』です。
少し小ぶりなサイズが愛らしいこの絵本は、ゴーヤーのカーテンの育て方を、最初の土づくりから解説します。
お話は最初から最後まで、子どもに優しく語りかける言葉で進みます。
「どうして はっぱの おかげで すずしくなるんだろう」。
そう言われてみれば、どうしてなんでしょう?
「からだが あつくなりすぎると しょくぶつは かれてしまうんだ
だから ねっこから すいあげた 水を はっぱの うらがわから だしている」。
そうすると植物の温度が下がって、外からの暑さもふせいでくれるのだそう。
「にんげんの あせと にているね」。
なるほど、確かに!
ネットを張るときは、
「しょくぶつの きもちに なってみよう」。
風で支えが揺れたら、なんだか怖くて元気が出ない。
しっかりつかまるところがあれば、安心して大きくなれる。
だから
「ネットは ぴんと はることが たいせつ」。
いつもは科学絵本や図鑑に手がのびないお子さんでも、お話感覚で読める育て方ガイド。
巻末には、初めに用意するものリスト、土づくりのポイント、日々のお世話から収穫まで詳しい解説が掲載されていて、これには大人も大助かり。
緑のカーテンって「なんだか大変そう……」と手が出ずにいた人も、この絵本にはきっと、背中を押してもらえますよ。
選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。