2021年2月7日

『のはらでまたね』【今日の絵本だより 第187回】

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kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。

『のはらでまたね』【今日の絵本だより 第187回】の画像1『のはらでまたね』
はせがわさとみ/作 文溪堂 本体1500円+税

 暦の上ではもう春だけど、まだまだ寒さも続く頃。
『のはらでまたね』は、そんな今の時季におすすめの1冊です。

うんと寒い冬の日。
たぬきが木のうろの家に帰ると、家の前に、葉っぱに包まれた何かが置いてありました。
「おやあ、なんだろ」
包みをほどくと、中には緑色のふわふわしたものが。
一緒にあった葉っぱのお手紙には、こう書いてありました。
“うんと さむいとき つかってね。
 ぼく、はるまでねむります。こぐまより”

それは、緑色のマフラーでした。
でも、マフラーをはじめて見たたぬきは、その使い方がわかりません。
「わかった、こうするんだ」
とおなかにくるっと巻いてみたら、おなかがぽかぽか。
素敵なプレゼントを誰かに見せたくて、森を歩いて行くと、ことりに会いました。
おなかに巻かれたマフラーを見て、ことりは
「それ、ほんとうに そうやってつかうもの?」
とたぬきのおなかからマフラーをくちばしでひっぱると、雪の地面に置きました。
そして、
「これ、のはらよ。みどりの のはら。
 うんと さむいときのために、こぐまが はるのかけらを くれたのよ!」
たぬきがそっと足を乗せてみたら、うん、確かに足の裏があったかい。
緑の野原だ、小さい春だ、とたぬきもことりも大喜び。
それを聞いて、うさぎにりす、しかにきつね、森の動物たちがたくさんやってきました。

たぬきの首にまかれるはずが、野原になって、森のみんなの心をぽかぽかにしたマフラー。
幸せな勘違いが、冬枯れの森に一足早い春を呼びました。
小さなマフラーの上に、動物たちがぎゅうぎゅうになって座っているシーンは、見ているこちらの心もぽかぽかに。
そして裏表紙は、「わあ」とうれしくなる、ぽかぽかのクライマックス。
幸せな余韻がどこまでも広がる、春待ち絵本です。

 

選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。

 

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