2020年6月11日

『にいちゃんのなみだスイッチ』【今日の絵本だより 第134回】

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kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。

『にいちゃんのなみだスイッチ』【今日の絵本だより 第134回】の画像1『にいちゃんのなみだスイッチ』
いとうみく/文 青山友美/絵 アリス館 本体1400円+税

前回に引き続き、今回もお兄ちゃんつながりの絵本をご紹介。
『にいちゃんのなみだスイッチ』は、弟のぼくから見た、泣き虫のお兄ちゃんの話です。

表紙をひらけばのっけから、園服姿のぼくが腕組みで、
「にいちゃんはなきむしだ」。
ぼくのにいちゃんはもうすぐ小学生なのに、ちょっとしたことですぐに泣いてしまう。
ピーマンを残して、お母さんに怒られたとき。
友達にブロックを取られたとき。
プールの水が冷たかったとき。
すぐに、かちってなみだスイッチが入ってしまう。

にいちゃんの泣き虫ぶりは幼稚園でも有名で、ぼくはしょっちゅう
「おにいちゃん ないてる」
「おにいちゃん なきそうだよ」
と友達に呼ばれてばかりで、恥ずかしい。
他の子のにいちゃんはみんな、強かったり、かっこよかったり、面白かったり。
「あんな にいちゃんだったら よかったのに」。

そんなある日、動物園への遠足に、お熱で行けなくなってしまったぼく。
にいちゃんが泣きそうな顔で見てるけど、泣きたいのはこっちの方だ。
なみだをこらえながら家で寝ていた一日、目を覚ましたら、にいちゃんが枕元に。
「いくよ」
と、笑顔でぼくの手を引っぱって……。

気の弱い子、勝ち気な子。
きょうだいでも性格が違うこと、ありますよね。
でも、どっちがいい悪いでは、決してなくて。
優しいことも、強いことも、それぞれに素敵なこと。
動物園に行けないアクシデントから、「なみだ」の見方がそれまでとはちょっと変わったぼく。
にいちゃんとぼくとお母さん、3人で笑顔のラストに、大人のなみだスイッチも入ってしまいそうですよ。

 

選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。

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