kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。

『ひなまつりルンルンおんなのこの日!』
ますだゆうこ／作　たちもとみちこ／絵　文溪堂　1540円

暦も3月、もうすぐひなまつりですね。
今回ご紹介する『ひなまつりルンルンおんなのこの日!』は、ちょっとおてんばなおひなさまのお話です。

ゆずちゃんのおうちで、きれいに並んだ七段飾りのおひなさま。
家族のみんながおでかけして、しーんとした部屋の中で、何やら声が聞こえます。
一番上の段から、おひなさまが
「あ〜 まいにち ほんとうに たいくつ。
　わたしだって おでかけしたいわ」
ですって。
そこへゆずちゃんちのネコが、
「おでかけしたいなら つれてってあげるにゃ〜」
と、おひなさまを背中に乗せて、外へ飛び出しました!
残されたみんなは、もうびっくり。
おだいりさまはあわてて、仕丁のかつぐかごに乗って追いかけます。
その頃、野原でネコの背中から落ちてしまったおひなさま。
その上、大切な扇までカラスに奪われて……。

思わぬ大冒険の後、無事に帰ってきたおだいりさまとおひなさまを囲んで、三人官女や五人囃子も大喜び。
笛や太鼓で舞い踊っていたら、ゆずちゃんたちが帰ってきて、あわてて元の場所に戻りますが……、あれれ、場所を間違えてる人がいる?
最初の並び方と、よーく見くらべてみてくださいね。

本誌連載「季節の絵本ノート」でもよくご紹介している、ますだゆうこさん＆たちもとみちこさんコンビのこちらの行事絵本シリーズは、12冊が発売中。
お正月、節分、ひなまつりといった日本の伝統行事から、イースターやハロウィン、クリスマスなど海外発のものまで、一年間の季節行事を幅広く扱っています。
どの巻もお話の合間や巻末に、行事の豆知識やお料理、工作などのコラムが満載なので、ひと月に1冊ずつ読み進めるのも楽しそう。
一年後には、親子で行事博士になれそうですよ。

選書・文　原陽子さん
はらようこ／フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、ＭＯＥでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。