2019年9月4日

『やさいばたけカーレース』【今日の絵本だより 第72回】

kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。

『やさいばたけ カーレース』
やぎたみこ/作 白泉社 本体1200円+税

前回に続けて今回も、野菜の絵本をご紹介します。
ちょうど今、とびきり旬な野菜の絵本といえばこちら、『やさいばたけ カーレース』。
kodomoe2018年12月号のふろくえほんが、単行本になって9月5日発売です。

今日は、やさいばたけのカーレース。
もぐらカー、かえるカー、ねずみカー、うさぎカー、へびカー、かめカー。
カラフルな6台が、スタートラインに並びました。
さあ、いよいよレースのスタートです。
「レディー ゴー!」

にんじん、だいこん、かぶ、いろいろな野菜が並ぶ畑を、どの車もブーンと器用に走り抜けていきます。
畑の次の温室の、迷路のような道もビュビュビューンとぬけたら、かぼちゃの山へ。
もぐらカーは登らずに土の中へ、へびカーはかぼちゃのすきまをぬけて、みんなそれぞれ個性を生かした走りで進みます。
激しいデッドヒートのトップ争い、へびカーをかえるカーが抜かしたそのとき……。

「えええー!?」と驚く展開は、さすがやぎたみこさん。
そして、思わぬびっくりの第二弾、第三弾。
この驚きのホップ・ステップ・ジャンプは、男の子やパパに大ウケしそう。
野菜の葉や根のすみずみまで丁寧に描かれた、リアルな絵の中で起こる、とんでもない出来事。
でもそれを絵空事と思わせない、安定の画力とお話力。
やぎたみこさんの作品はいつも、ありそうでなさそうでありそうな楽しさでいっぱい。
読者が物語にすっかり入り込んで、ゆっくりひたれる気持ちよさに満ち満ちています。

見返しには、気になる各ドライバー紹介。
裏表紙には、レース後のみんなの和気あいあいのひとコマ。
どちらも描きおろしの、単行本だけのお楽しみ。
『やさいばたけ カーレース』をふろくえほんですでにご愛読の方も、ぜひ書店で単行本をご覧くださいね。

 

選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。

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