8月号付録 『あるなつのよるに』MICAOさんにインタビュー！【コドモエ絵本作家インタビュー】
kodomoe2024年8号の付録絵本「あるなつのよるに」は刺繍でできた絵本です。針と糸と布を使って、絵本を紡ぎ出すMICAOさんにお話を聞きました。本誌の貴重なインタビューをkodomoe webでもご紹介します。
あるなつのよるに
だんだんと豪華になる花火と散ってしまうときの寂しさを絵本の中で表現しました――MICAO
打ち上げ花火を
絵本で楽しんでもらえたら
花火の光ひとつひとつを繊細に表現。一見開きを仕上げるのに1週間から10日かかります。
――kodomoeには初登場です。自己紹介をお願いします。
はじめまして、イラストレーター、絵本作家のMICAOと申します。刺繍でイラストレーションや絵本の制作をしています。
――絵本の刺繍と刺繍作品、どんなところが違いますか？
絵本は絵と文章が一体となって、ページをめくることで成り立ちます。なので、情報は控えめに次のページを見たいと思わせるような絵を心がけます。逆に、刺繍作品では、その一枚の絵だけで情報が完結するように意識しています。
――この絵本を作るときに意識した点は？
最初の花火は控えめに、クライマックスになるにつれ、花火の数も大きさも増やして画面を豪華にしました。最後のページは、華やかな宴の終わりの哀愁も感じられるように気を配りました。
――絵本の中でお気に入りのシーンを教えてください。
公園から見る夜景の場面は、神戸の六甲山から見た実際の景色をイメージしています。左端が大阪湾、右端が須磨海岸辺り、右奥側に見える灯りは淡路島です。
アトリエには、絵本制作ではなかなかお目にかかれないミシンも。
――制作の中で苦労した点は？
主役となる花火の表現です。完成した刺繍を普通に撮影しただけでは奥行きが出なかったので、Photoshopでレタッチをしてやっと満足いく雰囲気が出せました。
――ふたりのお子さんの母でもあるMICAOさん。子育て中の思い出の絵本はありますか？
長男は『おしゃべりなたまごやき』（寺村輝夫／作 長新太／絵 福音館書店）、次男は『とべバッタ』（田島征三／作・絵 偕成社）が特に好きでした。『おしゃべりなたまごやき』はお話が長いので、読み聞かせ中に親の方が眠くなってしまうこともあり、読み間違えるたびに指摘されたのも今ではいい思い出です。
――kodomoe読者に向けて、メッセージをお願いします。
コロナ禍には花火大会も多くが中止されました。そんな中、人混みを避けるため予告なしに打ち上げられる花火があると聞き、それがこのお話のもとになっています。
お子さんの中には、これから生まれて初めて打ち上げ花火を見る子もいるかもしれません。この絵本で花火の雰囲気を感じて、花火大会に行ったときにはこの絵本を思い出してもらえたら嬉しいです。
お子さんが小さいときに見に行った、神戸の花火大会が舞台になっています。
こちらもおすすめ！
『たいくつな にちようび』
理論社 1595円
何も予定のない日曜日にがっかりしていると、針と糸を自在に扱うステッチさんが登場。愉快なサーカスを刺繍で描きます。
MICAO
みかお／1967年、兵庫県生まれ。刺繡アーティスト・絵本作家・イラストレーター。一般企業に勤務後、独学で縫製・刺繍を学ぶ。絵本のほか、教科書の挿絵などの作品も手掛ける。
MICAO展覧会情報
「あるなつのよるに」絵本原画展+MICAO作品展
この絵本の原画となった刺繍のほか、オリジナル刺繍作品を展示します。
9月19日（木）〜9月24日（火） ギャラリーアライ
兵庫県西宮市甲子園6番町14-20 TEL 0798-42-2263
（kodomoe2024年8月号掲載）
『あるなつのよるに』が付録のkodomoe8月号、好評発売中！
