絵本の数は足りている? デジタル絵本にはどんな影響が? 子どもと絵本について、本格的な調査がスタート
2020年3月19日

絵本の数は足りている? デジタル絵本にはどんな影響が? 子どもと絵本について、本格的な調査がスタート

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子どもに素晴らしい読書環境を与えてあげたいと思っても、どんな本をどのぐらい揃え、どういう声かけや取り組みをしていくことがベストなのでしょうか。その答えにつながる、幼児の本環境についての研究が始まりました。先月、東京大学大学院教育学研究科附属発達保育実践政策学センター(Cedep)とポプラ社は、『全国保育・幼児教育施設における絵本・本環境の実態調査』の共同研究を発表しました。その調査の第一弾報告会の様子をご紹介します。  

保育・幼児教育施設に現在どれぐらい絵本・本があるかを調査

研究発表を行う東京大学Cedepの高橋翠特任助教

今回は、幼稚園や保育園、認定子ども園などの幼児施設で、絵本や本について、どのぐらいの蔵書や予算があるのかを、全国のアンケート形式で実施しました。2019年10月に行った調査によると、幼児施設は全般に小中学校よりも本の冊数・予算が少ないという結果でした。特に新設園や小規模園はどうしても絵本が少ない傾向があり、絵本購入の補助金やガイドラインの必要性も提言されました。

<蔵書数・予算の概算と施設による比較> 今回の発表内容より

・小中学校と比べて、子ども一人あたりの蔵書数、予算が断然少ない園が多い
子ども一人あたりの平均蔵書数は、小学校32冊に対し、幼稚園で12.3冊、認可保育所では7.7冊。絵本蔵書数300冊未満の施設は、認可保育所で30.8%、幼稚園で9.8%、認定こども園で7.7%

・絵本購入のための補助金を出す自治体は少ない
1年間の絵本の平均購入予算は1~5万円が45.7%と最も多い。自治体の補助金があったのは、幼稚園で22.9%だったが、認可保育所や認定こども園は10%以下

・蔵書の少ない園は図書館なども利用しているため、地域全体で子どもの絵本・本環境を考えていく必要がある
・今後は絵本の環境作りに向けた研修や、実践の事例を集めて研究結果として公開していく

保育の質は絵本の数だけでは計れないものがありますが、東京大学大学院教育学研究科長の秋田喜代美教授は、「乳幼児期に多くのお子さんが、早期から施設に通う時代になってきています。そこで、どれだけ豊かな本との出会いが保証されているのかは、とても重要です。園によって本の環境に違いが出ているという結果をふまえ、基礎の調査を積み重ねながら、どういう形で子どもたちをとりまく豊かなメディア環境が保証されるのかを考えていきたいです」とコメントしました。

紙とデジタルの絵本の比較については本格的な調査へ

絵本はスマホのアプリでもいいの?  という気になる点については、「従来の絵本とデジタル絵本の可能性も含めて、これから、絵本が子どもの発達や教育にどういう影響を及ぼすのかという研究をしていきたい」と東京大学Cedepセンター長の遠藤利彦教授。ウェアラブル・アイトラッカ―(いま視点がどこにあるかがわかる装置)を使って、絵本(紙)の読み聞かせと、ナレーション・アニメーション(動画)の視聴したときとの違いについて比較したり、脳活動計測や、言葉かけによる差などを研究していく予定だそうです。
デジタルメディアは、刺激が強すぎたり、ストーリーの中に入り込む経験が減るという意見もありながら、ハンディキャップを持った子どもの助けにもなるといいます。いい、悪いという判断だけでなく、使い方についても可能性を探っていくということでした。

これからの子どもと本の豊かな出会いをサポ―ト

共同研究者となるポプラ社代表取締役の千葉均氏は、「世界中の子どもたちに強く生きる力を身に付けてほしいと思っています。強く生きる力とは、何事もおもしろがることのできる力。乳幼児期に、愛情をこめて読み聞かせをしてもらった子どもたちは、そういう力がついていくと思います」と思いを語りました。のびのび読み(好きな時に、子どもが好きなように、一緒に読む)を通して、親子の濃密なコミュニケーションの時間を推進しているポプラ社として、3年間の共同プロジェクトへの期待をにじませていました。今後も継続して情報発信を行っていく予定だそうです。

子どもには本好きになってほしい、できる限りいろいろな本を読んであげたいと思う親は多いもの。読み聞かせは発達にどんな影響が出るのか、スマホなどのデジタルメディアに頼るとどうなるのか、今後の調査結果に注目が集まりそうです。

東京大学大学院教育学研究科附属発達保育実践政策学センター(Cedep):http://www.cedep.p.u-tokyo.ac.jp/
ポプラ社: https://www.poplar.co.jp

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