2020年2月27日

その子の言葉を育てる、絵本を読みながらの対話――言語聴覚士・絵本専門士 圓山哲哉さん

親子で読みたい、言葉を育てる絵本

言語聴覚士・絵本専門士の圓山哲哉さんに、言葉の発達の視点から、実際に子どもたちと一緒に読んでいる絵本をいくつか紹介していただきました。

『いないいないばああそび』きむらゆういち/作(偕成社)
『お?かお!』ひらぎみつえ/作(ほるぷ出版)
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めくったり、動かして楽しむしかけ絵本のシリーズです。まだ絵本をじっと読めない乳幼児の頃は、どんな姿勢で眺めても、投げちゃっても、やぶっちゃったとしてもOK! という考え方に賛成しているんですが、そんな時期には、丈夫に作られているボードブックがおすすめです。また、しかけ絵本では物語の筋が追えなくても、めくったことで起きる変化を楽しめます。実は発達で言うと「共同注視」という、一緒に同じものに注目することや、他者のペースに合わせられるかどうかが見えてくる絵本。療育アプローチを重ねるうちに「いないいなーい」という間も待てるようになる子がいて、成長を感じさせられます。
その子の言葉を育てる、絵本を読みながらの対話――言語聴覚士・絵本専門士 圓山哲哉さんの画像5
ばあ、というところでページをめくって顔を見せる『いないいないばああそび』

『くだもの』平山 和子/作(福音館書店)

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この『くだもの』はとても写実的な絵が描かれていて、見た目にもおいしそう!  日常で体験しているもので、取って食べたり、「さあ、どうぞ」とまねっこ遊びが展開できます。発達段階によって、本物ならわかるけれど、抽象的だったりシンボル化した絵ではわからない、という子もいます。そういう子には、まずこういう写実的な絵に、実物や模型を置いてもらうというマッチングゲームをしています。
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『ぞうくんのさんぽ』なかの ひろたか/作(福音館書店)
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動物が上にどんどんのっかっていくのがおもしろい絵本。上下という位置の概念がわかります。読んだ後に、「2番目に誰が出てきたっけ?」「上に乗っていたのは誰?」という質問をしたり、読んだことを思い出しながら動物をのせていくようなゲームをして、楽しんでみてください。好きな絵本を通して、記憶を自分で再現できるようになると、いろいろなモチベーションが上がります。

『ライオンさんカレー』夏目尚吾/作(ひさかたチャイルド)
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本当にカレーを料理した気分になれる絵本。自分で見たものを再現する、というのは、言葉や概念を使う練習になります。これは、カレーを作っていくお話なので、絵本を読んだ後に、実際に野菜を切ったり、カレーを作る体験ができたら最高ですね。インプットしたものをアウトプットする体験になります。

 取材・文/日下淳子(編集ライター・元保育士)

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