2019年1月17日

連載【第28回】今日の絵本だより『はたらきもののじょせつしゃ けいてぃー』

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kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、
ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめして
いきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。

『はたらきもののじょせつしゃ けいてぃー』
ばーじにあ・りー・ばーとん/文・絵 いしいももこ/訳 福音館書店 本体1200円+税

1/20は、大寒。
一年で一番寒いこの時季にちなんで、『はたらきもののじょせつしゃ けいてぃー』をご紹介します。

主人公のけいてぃーは、赤い立派なトラクター。
「じぇおぽりす」という町の「どうろかんりぶ」で働いています。
強くて大きくて、引く力は55馬力。
パーツを替えてブルドーザーにも、除雪車にもなって大活躍。
ある日、朝からの雨が雪に変わり、激しい雪が町を埋めつくしてしまいます。
駅も飛行場も病院も、誰も出入りできなくなってしまった町で、ただひとり、けいてぃー
だけが、雪をかきのけて前進します。
身動きが取れなくなった警察署長や郵便局長に「たのみます!」と乞われ、
「よろしい。わたしに ついていらっしゃい」。
ちゃっ! ちゃっ! ちゃっ!
と規則正しい音を響かせ、けいてぃーは進みます。

作者は、『ちいさいおうち』(岩波書店)でも有名なバージニア・リー・バートン。
日本では40年来のロングセラー、本国アメリカでは76年前に刊行された作品です。
「けいてぃー」、「じぇおぽりす」といった、レトロなひらがなも味わい深く。
細かいところまで見るお子さんなら、「55ばりき」の文字のそばに描かれた55匹の馬や、
「こんぷれっさー」「ろめんかきおこしろーらー」などの仲間の車、町の地図や人々の様子
を、じっと読み込むことでしょう。

個人的に私が感動するのが、けいてぃーが原文ではshe、女性だということです。
何もかも雪に埋もれてしまった町で、ずっとひとりで動き続けても、
「しごとを とちゅうで やめたりなんか、けっしてしません………
 やめるものですか。」
その見事な矜持と心意気。
日々の中で、いろいろなことが山積みで、自分が埋もれそうなときに、けいてぃーの
ちゃっ! ちゃっ! ちゃっ!
という音と、その歩みとともに色を取り戻していく町並みを思い浮かべると、
「うん、一歩一歩進んでいけば、大丈夫」と、心が熱くなるのです。

 

選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。

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