家族が家にいる今、Emiさんがおすすめする小さな場所の片付け
おこもり時間を有効活用しようと「片付けたい欲」は増しているのに、実際には、家事も増えるし、子どもたちは散らかしてばかり。そんな家族のために頑張るママにお届けしたい、整理収納アドバイザーとして大人気のEmiさんからのメッセージです。
片付けたい気持ちが空回りしてしまう日々
――時間があるようでないおうち時間、ついつい普段できないことをしようと思ってしまうけれど、なかなか手に付きません。家族とずっと過ごしていて「毎日、日曜日」のような空気の中、どんなふうに片付けたい自分に向き合えばいいでしょうか?
外出自粛がはじまったころ、「張り切って、この期間中に片付けるぞ〜〜!」と意気込んだ方も多いのではないでしょうか? でも、朝昼晩のごはんを考え、作り、片付けて、子どものお世話をしていたらあっという間に1日が過ぎていきますよね。あれ? こんなはずじゃなかった、あそこもここも片付いてない〜!と焦る気持ちが出てきたり。片付けは、一気にやろうと思うとなかなか難しい。特に家族が家にいる今、いろんな場所に一度に手をつけるのは難しいタイミングだと思います。
すごく小さな場所からはじめよう! まずは、メモのご用意を!
今は、家の中の「1か所」に集中してスタートしてみましょう。すごく小さな場所からはじめるのがポイント。例えば玄関やトイレなどの、狭いスペースがおすすめです。
成功のコツは、1枚の紙とペンを持って、まず1か所(例えば「玄関」)の気になるところを紙に書き出すこと。
・ビニール傘が多すぎる
・子どものサイズアウトした靴がずーっと放置
・鍵を入れるカゴがほしい
・電気が1個切れている
・ほうきが壊れている
・ママのブーツ、フリマアプリに出したい
・マスクの置き場を作りたい
解決策は思いつかなくても、感じたことをとにかくメモ! 書き出してみると、意外とすぐに解決できることがたくさんあると気付きます。解決できたら1個ずつ線で消していくと、すっきり爽快!
整理収納アドバイザーである私も、24時間365日ずっと綺麗をキープできているかというとそうではなくて、自宅が乱れてきたり気持ちがもやもやしてきたら、いつもこんなふうに解決しています。ポイントは、とにかくいろんな場所にいっぺんに手を付けないこと。まず1か所終わらせられれば、達成感が味わえますよ。
家族みんなで「きもちいい」を感じる絵本
――子どもと一緒に片付けたいのですが、どうしたらよいでしょうか?
子どもを巻き込んで片付けるには、まず「親自身」が、片付けを嫌そうにしないことが一番大事です。イライラしながら、しかめっ面をしながら、そんなふうに片付けをしていると、子どもも、嫌なことなんだな、と思ってしまいますもんね。
片付けってママひとりで黙々とやるものじゃないんだ、ということが伝えられたらと、数年前から絵本制作をはじめました。家族みんなで片付けをしている様子がたくさん出てきます。
『おかたづけ めっちゃ すっきり きもちいい』(うえだしげこ/作・絵 Emi/原案・監修 パイ インターナショナル 本体1300円+税)
今まで14冊出版してきた普段の本づくりでは、私と編集者さんのふたりで企画から構成をすすめていきます。ほぼふたりだけの世界で、あーだこーだと内容を詰め、練り、形にしていく作業ですが、今回は、絵本作家のうえだしげこさんと編集さんとわたしの3人。それぞれに思う形をひとつにまとめあげるのは難しいこともありましたが、全員一致しているのは、子どもたちに届くいい絵本を作りたい!ということ。真夏の東京の喫茶店で、あーだこーだとお互いのアイディアを持ち寄って作り上げていったのは、懐かしい思い出です。
特に、今まで何冊も絵本を作ってこられたうえださんが話されたことで印象に残っているのは、「絵本づくりは、捨てる勇気が大事なんです」という言葉。「あれも伝えたい、これも伝えたい、もっとこうしたい」と、いろいろあるけれど、潔くばさっと切り捨てないと、伝わるものも伝わらない。子どもが読むものだからこそ、シンプルにシンプルに。そう言われた気がしました。最後の形になるまで、とても時間はかかりましたが、まずアイディアを何十個と出して、膨らませて、削ぎ落として、練り直して、1冊に仕上がりました。
絵本のラフ原稿チェックを子どもたちに見てもらっているところです。
パパを巻き込むために「仕組み」をちょっと変えてみる
――さらに悩ましいのは、片付けの相棒であってほしい夫。価値観の違うパパを巻き込む方法、ありませんか?
まずは、大前提として、自分と同じ価値観になることはない!と思うこと(笑)。夫であれ子どもであれどんな人でも、自分と同じものさしになる、ということはないと思うんです。でも一緒に暮らしていると、こまか〜いことが気になって、イライラされる方も多いかもしれませんね。
夫との価値観の違いは、レッスン(Emiさん主宰のOURHOMEワークショップ)でもよく話題にのぼります。DMやチラシをゴミと判断するレベルが違う、家に入る前に除菌などのために上着は脱いでほしいのにそのまま部屋に入る、など。でも、気になっていないパパに、いくら「気にしてほしい!」と言っても、気にならない人にはまったく想像がつかない世界だと思うのです。
極論を言うと……相手に求めるよりも、わたしは、自分が変わったほうが早い!と思っていて(笑)。相手を責めることに時間を使うより、いかに気持ちよく動いてもらえるかの仕組みを考えることに時間を使いたいです。例えば、「家に入る前に上着は脱いでほしいのにそのまま部屋に入る」場合ですが、もし玄関からクローゼットまでが遠い距離だったとしたら、玄関を開けてすぐのところに、上着をかけるハンガーとラックをセットしておく。
そこに、子どもからパパへのお願いメモ
「ぱぱ、おしごとおつかれさま。うわぎはみんなのためにげんかんでぬいでね!」
とあったらどうでしょう!?(笑)
相手にこうしてほしい、ああしてほしい!と伝える前に、まずはそうしてもらうための仕組みってどんなものがあるかな?と考えてみてくださいね。
Emiさんの素敵なアイディアをヒントに、家族ですごす「おうち時間」が、より心地よく楽しいものになりますように!
kodomoeのtwitter 、Instaglam 、Facebookに、片付けの「仕組み」を変えるあなたのおうちのアイディアや、片付けのお悩み、この記事の感想などのリプライ(コメント)を、ぜひお寄せください。
Emi
整理収納アドバイザー。2009年生まれの男女の双子の母。片づけをキーワードに、気持ちのいい暮らしを提案する「OURHOME」を主宰。著書に「おかたづけ育、はじめました。」「小学生のおかたづけ育」(大和書房)など著書15冊。累計46万部出版。教育ブランドGakkenとのコラボグッズ「おかたづけ育シリーズ」を考案。NHK「あさイチ」に出演、雑誌LEEでの連載など活躍の幅を広げている。2008年から綴る暮らしや子育てのブログ「OURHOME」が人気。
OURHOME www.ourhome305.com
OURHOME instagram https://www.instagram.com/ourhome305/