「むし歯ができる4つの条件」とは? 子どもの歯科専門医が予防策をレクチャー!【最新号からちょっと見せ】
乳幼児期からのおうちケア&歯医者さんでの定期検診をルーティン化すれば、むし歯で痛い思いをさせなくてすみます。小児歯科の専門医が、効果的な予防策をレクチャー!
むし歯ができる4つの条件
むし歯菌が嫌がるお口の環境や生活習慣に変えて、むし歯リスクを下げましょう。
1、むし歯菌が増えている
口腔内にはミュータンス菌などむし歯の原因となる菌がすんでいます。むし歯菌が唾液に流されず歯の表面に付着して増殖すると、徐々に菌の塊・歯垢(プラーク)を形成します。

むし歯菌
2、甘い砂糖を摂り過ぎている
むし歯菌が、歯を溶かす酸を作リ出す材料にしているのが、甘いお菓子に含まれる砂糖などの糖質です。砂糖を摂り過ぎると酸がどんどん作られ、歯が溶けてむし歯へと進行するのです。
3、むし歯に なりやすい歯の質
生え始めのエナメル質は硬度が低いため、むし歯に注意が必要。また、約20%の人が、生まれつきエナメル質の形成不全という調査報告も。歯みがきに加え、シーラントなどの対策も有効。
4、ダラダラ食べる 食事習慣
常に食べ物が口の中にあると、むし歯菌のエサとなる砂糖も供給され続け、歯の表面が酸にさらされます。ジュースやスポーツドリンクなどの飲み物も砂糖が多いので、要注意。
むし歯は
どうやってできるの?
酸で溶けた歯が再石灰化できないと、やがてむし歯に進行します。
1、歯に付いた食べかすやみがき残しをエサに、むし歯菌が酸を作ります。
2、酸が歯の表面を溶かし、カルシウムなど歯のミネラル分などが溶け出します。
3、唾液には、酸を中和し溶けた状態を元に戻す、再石灰化の働きがあります。
4、間食し続けると、酸の中和やミネラルの補給が間に合わず再石灰化できません。
5、歯が溶け続けてむし歯に。象牙質や歯髄まで進行すると、激しい痛みも。
むし歯になる前に
歯科医院で定期検診を
「一生健康な歯でいるために大事なのは、歯科でのプロフェッショナルケア+ホームケアです」と岩本先生と渡部先生。
「歯科クリニックへは、何も問題がないときから定期的に検診へ行く習慣をつけましょう。家では気づきにくい歯の状態や、歯並び、かみ合わせに問題がないかなどをチェックし、専門的な歯のクリーニングをしてもらう大切な機会。成長に合わせた食事や歯みがき方法の指導もしてくれる、かかりつけ医を見つけることが大切です。
子どものむし歯は近年減少していますが、親の管理下から離れ、買い食いなどの機会が増える中高生では増加傾向に。思春期までに正しい食生活や、食べたら歯をみがく習慣を定着させましょう。また、小学校高学年までは、保護者が仕上げみがきをしてあげてください」
教えてくれたのは
岩本勉先生
いわもとつとむ/東京科学大学 大学院医歯学総合研究科教授。歯学博士。日本小児歯科学会常務理事。
渡部裕之先生
わたなべひろゆき/東京医科歯科(現東京科学)大学卒業。歯学博士。埼玉県上尾市・わたなべ歯科医院院長。
1日3分 むし歯にならない絵本
『1回3分 むし歯にならない絵本』
あきやまかぜさぶろう アキヤマヒカル/作
岩本勉 青木章/監修 渡部裕之/原案
白泉社 1760円
「歯みがきしてるのに むし歯になるのはなぜ?」「歯は だえきの力を借りて 穴を自分で修理するって知ってた?」親子で驚き、遊びながら現代の予防歯科をしっかり学ぶ絵本。
詳しくはこちら
イラスト/あきやまかぜさぶろう 編集協力/田所佐月(kodomoe2025年10月号掲載)