知能や運動能力もアップ!「噛む力」の育て方【最新号からちょっと見せ】
北欧と並んで虫歯の少ない国になった日本。ところが、きちんと噛めない子どもが増えているという臨床データも!
kodomoe2月号では、子どもの知能や運動能力もアップする!「きちんと『噛む力』の育て方」をご紹介。kodomoe webでは、「噛む力」のメリットや小児歯科医の増田純一先生のお話をちょっと見せします。
『噛む力』があると
食べ物をきちんと噛めると、健康にいいのはもちろんのこと、生きていく上で役立つ、さまざまなメリットをもたらしてくれます。
歯並びがよくなる
正しく噛むことで、噛むための筋肉やあごが発達して、歯並びや噛み合わせがよくなります。噛み合わせがいいと、顔も左右対称に。全身の筋肉や骨格のバランスまで整います。
健康な体を作る
口周りの筋肉が育つと、口を閉じた鼻呼吸ができるように。風邪などの感染症にかかりにくくなります。しっかり噛んで食べることで消化・吸収がよくなり、食べ過ぎによる肥満も防止。
運動能力が育つ
歯並びがよくなり身体のバランスが安定するため、運動能力もアップ。また、噛むことで脳が刺激され、スポーツをするときに必要な集中力や瞬発力が高まることもわかっています。
脳が活性化する
ものを噛んでいるときに、脳の血流量が増大することが確認されています。血流が増えると、脳は活性化。学習記憶に関わるアセチルコリンという脳内伝達物質も、噛むことで増加します。
口唇や舌のはたらきも
噛む力アップに必要
子どもの歯が生え始めると、一番気になるのは虫歯です。歯みがき習慣をつけて虫歯を予防することは、もちろん大切。しかし近年、虫歯がなくても、きちんと噛めない子が増えているのだそう。
「食べ物を丸飲みする、硬いものが噛めない、口があまり動かず、いつまでも口の中に食べ物をためている、口を開けたままクチャクチャ食べる。噛む力の弱さは、食べ方に現れます。きちんと噛めない主な理由として、歯並びや噛み合わせが悪い、舌や口唇がうまく働かないなどがあります。そういう子は口がしっかり閉じないため、いつも『お口ポカン』状態に。口周りの筋肉やあごの発達にも影響を及ぼします。常に口が開いているため、前歯が口唇で押さえられず、さらに歯並びが悪化。噛み合わせまで悪くなり、噛む力が育たないという悪循環になるのです。
人が健康に生きるために最も大切なのが、きちんと噛んで食べること。よく噛む食事をしている子どもは、身体能力や学力が向上するという研究報告も多く出されています。噛む力を育てるためには、舌や口唇、歯の正しい使い方を学習することが大事。日頃から意識することで、子どもだけでなく大人も、噛む力を育てられますよ」(増田先生)
教えてくれたのは
増田純一先生
ますだじゅんいち/小児歯科医。マスダ小児矯正歯科医院長。長年、子どもの歯と健康に関する臨床研究や治療を続けている。著書に『子どもの知能と身体を発達させる噛む力』(WAVE出版)など。
イラスト/きどふみか(kodomoe2022年2月号掲載)