かけっこが速くなる2つのステップ【陸上指導のスペシャリスト伝授・2】
陸上指導のスペシャリストが教えてくれる俊足レッスン。
前半では、走りの基本や「ポン・ピュン走法」について教わりました。
後半では、ポン・ピュン走法をマスターするための2つのステップをお届けします。
ポン・ピュン走法マスター STEP 1
足を速く動かす感覚を知ろう
「自分はこんなに速く足を動かせるんだ」という感覚を知ることが大事。
その感覚を反復するうちに脳が動きを覚え、足の回転が速くなります。
練習の目的
リズミカルに足を速く動かす練習をしよう
足の回転数のことを「ピッチ」と言います。ピッチが速い=足を速く動かしているということ。リズムよく速いピッチで足を動かす、というのがどんな感覚なのかを体験できると、だんだんと速く動かせるように。
練習方法 その1
子どもの手を引いて走ってみよう
ママやパパが両手を引きながら、子どもを引っ張るくらいのスピードで後ろ向きに走ります。自分で出すスピードよりも足が速く動く、という新たな感覚を体験させます。
練習方法 その2
床に置いた紙をまたいでいこう
A4サイズの紙を等間隔に床に並べます。ママ・パパが手をたたきながら、それに合わせて子どもがまたいでいきます。できるようになったら手をたたく速さをどんどん上げていきましょう。
ポン・ピュン走法マスター STEP 2
はずむ感覚を身につけよう
地面からの反発力を最大限に生かせるように
前と上に“飛び出す”動きをマスターしよう!
練習の目的
地面との接地時間を短くすることを目標に
速く前に進むには、地面からの反発力を上手に利用すること。反発力に比例して推進力は大きくなるので、アキレス腱のバネを使って地面を力強く押し返す練習をしましょう。
練習方法 その1
足を垂直に下ろして「空き缶つぶし」
背筋をまっすぐ伸ばし、片方の脚を胸まで引き上げます。足元にある空き缶をつぶすイメージで、まっすぐ脚を下ろして力強く地面を踏みます。実際に空き缶でなくてもいいので目印を作ってあげるとやりやすい。左右交互に繰り返して。
練習方法 その2
ボールのように真上に弾んでみよう
ポンポン弾む感覚を知るために、真上に向かってジャンプ! 背筋はまっすぐ伸ばして前を向きながら行って。慣れてきたら、ママ・パパがジャンプのタイミングで子どもの肩を上から軽く押さえます。その力をはねのけるようにジャンプすると、より反発力が高まります。
慣れてきたら上から押さえて
練習方法 その3
横断歩道をポンポン渡ってみよう
散歩のときにも弾む感覚の練習はできます。横断歩道などで、白線を踏み外さないようにポンポンと弾みながら渡ってみましょう。腕を大きく振りながら行うとさらに◎
子どもと練習するときに気をつけたいこと
やりすぎはケガのもと
幼児は腱の発達が未熟です。ママ・パパが一生懸命になり過ぎてオーバーワークになってしまうと、脚を痛めることに。楽しく遊ぶ程度に。
ママもパパも準備体操
練習の前には、ママ・パパも子どもと一緒に準備体操を忘れずに。後ろ向きで走るなど、ふだんやらない動きをする場合には特に注意が必要。
きちんとした靴を履こう
ここで紹介している練習法は家の中でもできますが、外でやる場合は、底の溝がすり減りすぎていない、クッション性のある靴を履かせて。
教えて! 川本先生
子どもを"その気"にさせるには?
親子で一緒に練習することで、子どもの心も育ちます。
目標に向けてがんばれるように、親ができることとは? 川本先生にうかがいました。
Q4 効果的なほめ方はありますか?
A 結果よりもプロセスをほめることです
「なぜ運動会があるのか? 本番に向かって努力することで、子どもが成長できるからです。そう、結果よりも過程のがんばりが運動会の目的。1番になったり去年より順位が上がったらもちろんほめてOKですが、結果が伴わなくても『ママと練習がんばったもんね』とプロセスに言及して」
Q5 足が速いと何かいいことがあるのでしょうか?
A 走る練習をすることは脳の発達にもいいんです
「走るということは、すべての身体的動作の基底。身体動作は脳の働きによるものですから、走るトレーニングは脳の発達にもいいのです。また、全力を出し切る感覚を脳が知ることは、その後の人生において可能性を広げることになるはずです」
川本和久先生
かわもとかずひさ/福島大学陸上競技部、福島大学トラッククラブ、東邦銀行陸上競技部監督。どうしたら早く走れるかを日夜研究中。最新著書は「マンガ 足が速くなる! ポンピュン走法」(マキノ出版)。
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イラスト/柴田ケイコ
(kodomoe2017年10月号掲載)