上野千鶴子先生が「ポテサラ論争」に切れ味鋭くアドバイス!【最新号からちょっと見せ】
幸せなはずなのに、なんとなく生きづらい。ネットやママ友、家族の言葉に揺れたり、迷ったり。kodomoe2020年12月号では、6月号のロングインタビューでも大反響の上野千鶴子先生が、切れ味鋭くアドバイス!
kodomoe webではその中から、以前、話題になったあの論争についてのお悩みをご紹介します。
Q.少し前に話題になった
「ポテサラ論争」や「冷凍餃子は手抜き論争」
私も忙しくて、平日はついお惣菜に頼りがち。子どもに対してなんとなく申し訳ない気持ちになります。夫も口には出さないけど、不満に思っているかも。「母はこうあるべき」という呪いから、完全に自由になることはできない気がします。(NAOママさん/8歳&5歳女の子ママ)
※ポテサラ論争……スーパーの惣菜コーナーで、惣菜パックを手にした幼児連れ女性に対し、高齢男性が「母親ならポテトサラダくらい作ったらどうだ」と言い捨てるのを目撃した人のツイッターが、大きな話題に。SNSでは「母親像の押しつけでは」といった批判が巻き起こった。
※冷凍餃子は手抜き論争……夕飯に出した冷凍餃子を、夫が「手抜きだよ」と指摘。「ポテサラじいさん予備軍みたい」という妻のツイートが、テレビでも取り上げられた。
A.もっと大事なことに 時間を使っていると考えて
食卓に“一汁三菜”そろえなくちゃいけない、とか“手づくり惣菜”でなきゃいけない、っていったい誰のリクエストなんでしょうねえ。夫も子どもも文句も言わずに食べているんでしょう? いまどき餃子を手づくりしている人は少ないし、老舗の冷凍餃子のほうが、家庭の手づくり餃子よりずっとおいしかったりします。
知り合いのママが、子どもが自分の手づくりハンバーグよりマックが好き、と言って怒っていました。小さいときから慣れた味だし、商品になっている食品にはいろいろな工夫が凝らされています。そんな添加物入りの加工食品の濃い味に慣れさせたくない、という「正食」原理主義者もいるんでしょうが、この時代に加工食品、半加工食品なしで食卓を埋めることはほとんど不可能です。
あなたを責めているのは、夫でも子どもでもなく、あなたの中に内面化された「世間」という名のあなた自身。親や親族、ママ友などの声です。実際の声ではなくて幻聴なんだから、幻聴さんにはサヨナラしましょう。
昔はポテサラなんて売っていませんでしたし、もっと昔はみそもしょうゆも手づくりでした。ポテサラ論争のオジサマには、「残念でしたね、昔はポテサラ売ってなくって」、と言ってあげましょう。親の世代には中食(なかしょく)の選択肢が少なかったでしょうが、今はあたりまえ(だって今どき子ども服を手縫いしてる人もほとんどいないでしょう?)。時代と世代が違います。
この話をママ友に振ってごらんなさい。「あら、私もよ」と大笑いになるだけ。中食マーケットが進化した時代には、器だけ変えてちょっと見た目をよくすればじゅうぶん。もし夫が文句を言ったら、「じゃ、あなたがやれば」と返しましょう。あなたが忙しいのはポテサラを手づくりしているよりも、もっと大事なことに時間を使っているからです。「世間の声」に振りまわされないよう、自信を持ってください。
答えてくれたのは
上野千鶴子さん
うえのちづこ/社会学者。認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク理事長。東京大学名誉教授。日本における女性学、ジェンダー研究の第一人者。著書も多数。近刊は、漫画家・田房永子さんとの共著『上野先生、フェミニズムについてゼロから教えてください!』(大和書房)。
イラスト/平松モモコ 編集協力/田所佐月
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