ひとりっ子&きょうだいの特徴とは?メリット、デメリットはある?【ひとりっ子&きょうだいの育て方・2】
ひとりっ子の育児と、きょうだいの育児は違うのでしょうか?「すべての悩みは1人目の子育てにあり!」「生まれ順で知る、子どものタイプ」などをお届けした前回。
引き続き、子どもの発達や心理に詳しく育て方やしつけに関する著書が多数ある岩立京子先生に、今回は、ひとりっ子やきょうだいの特徴や、メリット・デメリットをおうかがいしました。
コンプレックスとは無縁!?
ひとりっ子の特徴
最初の子育てゆえの不安や戸惑いと、惜しみない愛情。
親の複雑な思いを一身に受けて育つのが、ひとりっ子なのです。
親の愛で満たされ
優しい子に育つ
「1人の子どもを丁寧に育てたい」「2人目も考えているけれど、いまは1人」などなど、ひとりっ子育児の背景はさまざまです。いずれにしろ親の関心がたった1人に集中する分、親の影響を強く受けて育ちやすいのがひとりっ子。
「ひとりっ子はわがままになるのでは?と心配されるお母さんが多いのですが、そんなことはありません。むしろ親からの愛情を一身に受けるため心が満たされ健やかに育ちます。ときには子どもの要求をすべて叶えるのではなく、親が自分の要求を伝えて親にも都合や思いがあることを教えていくといいでしょう。保育園や幼稚園に入れば、自己主張の仕方も他人との距離の取り方も自然と学んでいきます。『ひとりっ子だからかわいそう』と考えるのではなく、たっぷり愛情を注げるメリットを生かすことが大切です」(岩立先生)
ひとりっ子ママに聞いた!
"どうしてひとりっ子なの?"
「高齢なので2人目はあきらめた」といったやむを得ない事情だけでなく、あえてひとりっ子を選択したママたちの、そのワケを聞いてみました。
夫の育児協力がアテにできないので、
もう1人は考えにくい
(ちびたさん/0歳女の子ママ)
自分もひとりっ子で
満足しているから
(mihoさん/5歳女の子ママ)
ひとりの子どもにしっかり時間と
お金をかけてあげたい
(TOSHIママさん/3歳男の子ママ)
仕事もがんばりたいから、
子育てとのバランスを取りたい
(ほしこさん/6歳男の子ママ)
親から愛されている自信で、心が安定する!
ひとりっ子のメリット
親の愛情を独占できる
きょうだいで親の関心や愛情を奪い合う必要がなく、自分の気持ちを素直に表現できるので、屈託のない性格に育ちやすくなります。
教育環境が整いやすい
自分ひとりにお金も時間も十分に投資してもらえるので、学習や遊びなど情操教育の機会を多く与えられます。
親からのメッセージを
しっかり受け取れる
親の考え方や「こんな子に育ってほしい」という理想や期待を日々キャッチしているので、ゆがみなく育ちます。
ひとりっ子のデメリット
王様や女王様に
なってしまうことも
たっぷりかわいがられる反面、わがままも通りがち。なんでも思い通りにしたがる「王様・女王様」気質になってしまう恐れも。
自己主張する場面が
少なくなりがち
欲しがる前に先回りして与えられていると、自ら欲求を表現する機会が与えられません。集団の中で遠慮して、主張できない場合も。
堂々とえこひいきしてOK!
きょうだいの特徴
下の子が生まれた直後は、あえて上の子をかまってあげて。
上の子の心が満たされれば、下の子への思いやりも芽生えてくるのです。
下の子にはミルクを
上の子には言葉を
きょうだいができると、上の子の赤ちゃん返りに悩むママは少なくありません。「おにいちゃん(おねえちゃん)なんだから、しっかりして」と、期待してしまいがちですが……。
「自分の存在が下の子に脅かされる、上の子にとっては、まさに人生最大の危機です。だからこそ、えこひいきと思えるくらいに言葉や態度で愛情を示してあげましょう。赤ちゃんには抱っこしてミルクを与えつつ、視線は上の子へ。危機感が消えれば、下の子をかわいがる気持ちが生まれます。いずれは、ママにとって頼れる味方になってくれますよ」(岩立先生)
「あなたが一番!」で、子どもの心は満たされる
下の子の妊娠・出産は上の子にとって
最大のピンチ!
それまで独占してきた親の愛情が、弟や妹に奪われる。それは上の子にとって人生最大のショック! 下の子のお世話を優先させがちですが、ムリしない範囲で「エルダーファースト(上の子ほど先に話を聞け)」を意識して。「あなたが大好きよ」と繰り返し伝えることで、不安を取りのぞいてあげましょう。
ひとりっ子になれる時間を作ろう
きょうだいそれぞれが、ママと2人っきりで過ごせる機会を、意識して作りましょう。「ママが自分だけを見てくれる」ことで、満足感と充足感が得られるのです。「どちらが好き?」と聞かれたら遠慮なく「あなたが一番よ」と答えてOK。「平等に好き」なんて正しい答えより、子どもが一番求めている言葉で安心させて。
「年齢差」別 きょうだいのメリット・デメリット
0〜1歳差
赤ちゃんが2人状態。小さいうちはお世話などで体力的には大変ですが、子ども同士でやきもちをやくことも少ない分、メンタル面ではラクな部分も。
2歳差
上の子にもまだ手がかかるうえ、赤ちゃんのお世話も。親の関心を奪われた上の子の赤ちゃん返りが始まる時期でもあります。一気に子育てをし終えるメリットも。
3歳差
上の子が3歳だと、赤ちゃん返りがピークを迎える時期。ここをうまく乗り切れば、上の子が精神的にも大きく成長し、ママを支える存在となってくれます。
4歳差
上の子は、保育園や幼稚園など家以外での居場所を持ち始めます。下の子のお世話に集中できる分、上の子の様子には十分注意を向け、親の愛情を伝えましょう。
5歳差以上
「赤ちゃんはお世話が必要」と理解できる年齢になり、頼れる存在に。とは言え上の子もまだ幼児。我慢させている部分があることを理解して接することが大切です。
岩立京子先生
いわたてきょうこ/東京学芸大学総合教育科学系幼児教育教室教授。幼児教育行政の委員、メディア出演など幅広く活動。
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イラスト/オガワナホ、編集協力/田所佐月(kodomoe2017年10月号掲載)