7月27日は「すいかの日」。今日読みたい絵本「すいかのプール」をご紹介【親子の読み聞かせに。今日の絵本だより】

子どもの“好き”に出会える♪ はじめてのキッズカメラ
ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめするweb連載「親子の読み聞かせに。今日の絵本だより」。過去にご紹介した絵本の中からピックアップ。親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。本日「すいかの日」にピッタリな絵本のご紹介です。
すいかのプール
『すいかのプール』
アンニョン・タル/作 斎藤真理子/訳 岩波書店 1870円
本日7月27日は、すいかの日。
すいかの縦縞模様を綱に見立て、「7・2・7」を「夏の綱」と読む語呂合わせから決められたのだとか。
『すいかのプール』はお隣の国、韓国の絵本ですが、そのことをまったく忘れてしまうくらい、私たちの心にある「すいか感」がそのままに満ち満ちています。
真夏のお日さまの下で、すっかり熟して、「ちゃっ」と音を立てふたつに割れたすいか。
そこへ、はしごを抱えた麦わら帽子のおじいさんがやってきて、
「ふーむ、まだ だれも きてないな。」
まあ、こーんな大きなすいかだったんですね!
おじいさんがはしごをすいかに立てかけて上まで登ると、そこは一面、見事なすいかの断面。
「すいかのプールの プールびらきです。」
おじいさんはすいかに足を踏み入れ、「さっく さっく さっく」と歩いて、種を「すぽっ」と手に取り、種の跡の穴に肩までつかって、
「うーむ、きもちいい」。
さあ、浮き輪を抱えた子どもたちも、たくさんやってきましたよ。
「わあー!!」と歓声を上げ、「さっく さっく さっく」、葉っぱの飛び込み台から飛び込んで「しゃぽん!」。
みんなではしゃいで、一緒に足をぴちゃぴちゃさせれば、赤いすいかジュースがどんどんたまります。
突然現れた大きなすいかに、老いも若きもみんなが普通に集まって、すいかの中でプール遊び。
(しかも、毎年恒例のようなんです。)
現実からいつの間にか、ちょっと不思議な世界へ。
このふわっと自然な飛び越え方が、とても絵本らしくて素敵です。
文章とも映像とも違う、絵本ならではの納得感。
声高に語られているわけではないのに、甘くさわやかなすいかの香りや感触が胸に残るのは、ページを開いている間、読む側もすいかのプールに身も心もすっかりひたったからなのでしょうか。
ラストの少しさみしいような、それでいてうれしい期待を残す余韻も、格別の味わいです。
いよいよ夏本番。
食卓でも絵本でも、親子で存分に夏の味をお楽しみください。
選書・文
原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、司書、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。
※こちらの記事は、2020年7月にウェブ掲載したものを再編集しています。