2025年7月12日

手作りして食べさせてきても、子どもたちは思春期になったら添加物とファストフードばかり。でも、それでいいんです…【日登美のタベコト in Berlin・103】

 ベルリン在住で6人の子どものお母さん。モデルとして活躍する傍ら「台所から子育て、暮らしを豊かに」をコンセプトに、オンライン講座とウェブサイトを主宰している日登美さんによる、「食」からはじまるエッセイです。

20年食育をしてきた我が家の子どもたちの今

我が家は一度の離婚を経てのステップファミリー。その上日本、ブラジル、ドイツとさまざまな国で子育てをしてきました。なので安定的で一貫した家族、環境で子どもを育てることはできず、さまざまな場所、文化の中で右往左往しながら子どもを育ててきました。

学校も一貫してどこかに行けたわけでもないし、言語はいつも変わっていったので、きっと子どもたちは勉強や育っていく中で苦労がたくさんあったと思います。 けれどその中でも唯一変わらず続けられたことがありました。それが食育です。

食育といっても大したことをしたわけではありません。家で作って食べる。できるだけ自然なその土地のものを食べる。それは、どの国に住んでもやってくることができました。台所はどの国にも必ずあるからです。そしてご飯を食べることも、どこにいても必ず日々やることだから。なので、特別なことをしたわけではありません。

手作りして食べさせてきても、子どもたちは思春期になったら添加物とファストフードばかり。でも、それでいいんです…【日登美のタベコト in Berlin・103】の画像1

双子が一緒に料理をする姿を最近よく見る。

ただ、子どもと一緒によく台所に立ちました。子どもが一緒でなくても私は台所で多くの時間を過ごしてきました。私は特に何かに秀でた家事能力を持っているわけでもないので、台所でご飯を作るくらいしかやることがなかったような気もします。

そうこうするうちに20年ほど時がたち、子どもたちはすっかり成人になりました。どの子もみんな心も体も元気に育ちました。それは病気をしないとか、心を病まないという意味ではありません。病気をしても、心が病む時があっても、いつか自分の力で立ち上がる力を持った人間に育ったということなんです。

手作りして食べさせてきても、子どもたちは思春期になったら添加物とファストフードばかり。でも、それでいいんです…【日登美のタベコト in Berlin・103】の画像2

この日はラザニアを作っていて、ランチにご馳走になりました。美味しかった!

食育というと、なんだかすごいことをしなくてはいけない気がするし、食育をやってるというと「きっちり」栄養士さんみたいなことをしていると思われることも多いですが、そんなことはなく、どれだけ手作りで頑張ってご飯を作っても子どもたちはジャンクなものにもどんどん手を出します。

我が家でもあんなに手作りをして食べさせてきたのに、思春期の頃には信じられないほどの添加物とファストフードと清涼飲料水を食べ漁り、飲みまくり、その姿を見てガッカリしたこともありました。けれど、それでも大丈夫なんです。数年放っておいたら自然と自分でご飯をつくり、なんなら親に食べさせるくらいになりますから。騙されたと思って放っておいてみてください。

手作りして食べさせてきても、子どもたちは思春期になったら添加物とファストフードばかり。でも、それでいいんです…【日登美のタベコト in Berlin・103】の画像3

子どもの頃からこうして2人台所に一緒にいたなぁ。思春期には家に寄り付かなかった2人もまた鮭の産卵のように故郷の川に戻ってきた感がある今日この頃。

食育への道はキラキラとした成功ストーリーではありません。たくさんの葛藤と、衝突と、悩みがあり、うまくいかず、自分自身も言うほど頑張れるわけでも、立派なことができるわけでもありません。でも、それでいいと思います。

ただ、台所を中心に子育てをする。本物の食品を食べさせること、できるだけみんなで台所から出来上がったものを食べさせること。味噌汁とご飯だけでいいんです。そういう地味なことを、つまらないことをやり続けるということ。それがすごく大きな意味があったなと今では思います。騙されたと思ってやってみてください。そして20年後を楽しみにしていてください(笑)。

■お知らせ■

日登美さんのイベント「性教育のお話し会」
東海大学教授小貫大輔先生とアントロポゾフィ看護スペシャリストの村上典子先生を招いての性教育のお話し会を開催します。

日時 7月27日(日)日本時間14時から16時
※オンライン、アーカイブでのご参加のご案内となります。
※お申し込み期間 7月15日まで

詳しくはこちらから

日登美/ひとみ
3男3女6児の母。10代よりファッションモデルとして雑誌、広告等で活躍。その後自身の子育てから学んだ、シュタイナー教育、マクロビオティック、ヨガなどを取り入れた自然な暮らしと子育てを提案した書籍、レシピ本など多数出版。現在はモデルとして活躍する傍ら、オーガニック、ナチュラル、ヘルシーをモットーに、食、暮らしと子育てのワークショップ、オンライン講座などを行う。 

台所から子育て、暮らしを豊かに。「Mitte(ミッテ)
instagram / @hitomihigashi_b
音声プラットホームvoicyで「日登美のイロイロ子育てラジオ」発信開始!

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