手づくりとか、買ったものとかは関係ない。「楽しく美味しい」食卓があれば、子育てのピンチもなんとかなる【日登美のタベコト in Berlin・88】
ベルリン在住で6人の子どものお母さん。モデルとして活躍する傍ら「台所から子育て、暮らしを豊かに」をコンセプトに、オンライン講座とウェブサイトを主宰している日登美さんによる、「食」からはじまるエッセイです。
年末に思うこと
子育てっていろんなことが大切だと思うんだけど、台所は、不思議とそういうことをぜーんぶ結んでくれると思う。
台所といっても、料理がすごくできないといけないとか、毎日料理しないといけないとか、手づくりができてないといけないとか、そういう表面的なことを言っているわけじゃなくて。
6人子育てをしてきて、食卓を大事にしてきて、いま思うのは、とにかく子どもの「楽しく美味しく」を無理せずにやることが大切だということ。台所は、真剣にならず適当なぐらいがちょうどいいということ。台所で作って、集って、みんなで食べて「わはは」と笑った時間があれば、いつか大きくなった時、子育てのピンチを救ってくれる、ということ。
もちろん、台所が全てを解決するわけではない。手づくりしてれば子どもが大学に受かるわけではないし、お弁当を作っていればグレない、というわけでもない。
じゃあ、何が助けになるかって? それは、大学に落ちても、グレても、立ち上がる力を台所で紡いだ時間が支えてくれるってこと。いろんなことが起きる子育てだし、子どもの成長にもいろんなことがあるけど、台所での時間と思い出が力になるっていうこと。「美味しい」の思い出と一緒に、「美味しい」を支えてくれた、与えてくれた思い出が力になるんだなと、いま大きくなった子を見て思っている。
お母さんが赤ちゃんを毎日抱きしめるほどには、大きくなった子どもは毎日抱きしめてもらえなくなるし、抱きしめなくなる。でも、そういうふれあいがなくなっても、美味しいご飯でお腹を満たすと体の内側から「気持ちいいふれあい」があふれてくる。
自分が満たされて守られて初めて、子どもは自分の力が思い切り出せる。そういうシンプルなことを毎日の食事が支えている。
だから年末には、あらためて、美味しい食卓を子ども達と紡いでいきたい、と思う。そういう気持ちがあれば、実際には手づくりだろうが、買ったものだろうが、子どもと分かち合う時間の質は変わらない。
いろんなことに捉われず、真っ直ぐに子どもを満たす。私を満たす。家庭の食卓の役割ってそういうことかなと思っています。
日登美/ひとみ
3男3女6児の母。10代よりファッションモデルとして雑誌、広告等で活躍。その後自身の子育てから学んだ、シュタイナー教育、マクロビオティック、ヨガなどを取り入れた自然な暮らしと子育てを提案した書籍、レシピ本など多数出版。現在はモデルとして活躍する傍ら、オーガニック、ナチュラル、ヘルシーをモットーに、食、暮らしと子育てのワークショップ、オンライン講座などを行う。
台所から子育て、暮らしを豊かに。「Mitte(ミッテ)」
instagram / @hitomihigashi_b
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