『フライングメジャー号 世界一周 空の旅』【今日の絵本だより 第319回】
kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。
『フライングメジャー号 世界一周 空の旅』
コマヤスカン/作 講談社 1650円
9月27日は、世界観光の日。
この日にぴったり、タイトルからしてワクワクしてくる、『フライングメジャー号 世界一周 空の旅』をご紹介します。
フライングメジャー号は、山の高さや建物の大きさ、それから遺跡のできた時代まで、なんでも測ることができる、飛行船タイプの特別機。
とても物知りなナンバー船長、測ることが大好きなカウント博士、好奇心旺盛な女の子のキューちゃん、他にも8人の乗組員に、犬のポインタと猫のミステリ。
にぎやかなメンバー全員が、高さ450mの東京スカイツリーの天望回廊からフライングメジャー号に乗り込んで、さあ、世界中の空の旅へと出発です。
最初に訪れたのはお隣の国、中国の万里の長城。
博士によれば、長城の全長は6000km。北海道一周が3000kmなので、その2周分。
ちょうど映画の撮影中のようで、馬に乗った兵士たちが迫力の戦いを繰り広げています。
お次はインドの美しい白亜の霊廟、タージ・マハル。
中央の丸いドームの高さは58m、日本の国会議事堂が65mなので、ほぼ同じくらい。
みんなもフライングメジャー号から降りて、中を見て回ります。
その姿は米粒くらいですが……、ほら、キューちゃんがあそこにいるのが見えるかな?
エジプトのピラミッド、フランスのエッフェル塔、アメリカのグランド・キャニオン、他にもまだまだ、フライングメジャー号は軽やかに、世界の名所をめぐります。
有名な世界遺産や建造物は、空から見渡すとまた一層と迫力満点。
「ちなみに」が口癖の博士が、新しい場所に着くたびに身近なものとくらべる数字解説をしてくれるので、その大きさがより実感を持って感じられます。
広大な景色の中に乗組員のみんなを探す、探し絵要素ももりだくさん。
フライングメジャー号のさまざまな装備やアレンジも、乗り物好きにはきっとツボなはず。
いろんな角度から楽しめて、知識も身に付く、そしてきっと世界観光に行きたくなること間違いなしの一冊です。
選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。