コロナワクチンを打てない小さな子こそ「唾液力」を上げて“第7波”に備えよう
入園や入学、進級など、新生活が始まってもうすぐ1か月。新しい環境やお友達とのかかわり、コロナ禍で制限の多い生活やマスク着用など、ストレスを感じている子どもも多いよう。ストレスは免疫力を低下させる大敵です。今大事なのは、自分自身が持つ免疫力をしっかり上げておくこと! そのポイントとなるのが、誰にでもそなわっている「唾液」なのです。
唾液はいわば“天然のワクチン”
体をウイルスから守る!
ウイルスは口や鼻などから入ってきますが、唾液に含まれる「IgA抗体」は口の中に入ってきたウイルスと結合し、ウイルスを無効化して細胞に侵入させない働きがあります。つまり、ワクチンのようにウイルスから体を守ってくれるのです。
唾液は99%が水分で、残り1%の中にIgA抗体をはじめとした健康にとって大事な成分が含まれており、唾液の量が減るとその働きは低下してしまいます。
コロナ禍の新生活は
唾液力が落ちるリスクがいっぱい
終わりがまだ見えないコロナ禍での生活は、唾液の量が減って質が落ちる=唾液力が下がるリスクが大! マスクをしていると息苦しさから口を開けがちになり、口が乾燥して唾液が減ります。口をハッキリ開けずに話すクセがつき、これも唾液が出にくくなる要因に。また、新生活にまだなじんでいないことで感じる日々のストレスも、自律神経の乱れから唾液量の低下につながります。おうち時間の増加による運動不足で、ストレス発散がうまくできない子も多いよう。
唾液力アップにいいのは
マッサージ、食物繊維、ヨーグルト!
放っておくと低下しがちな唾液力ですが、ちょっとした意識で上げることができます。まず、ストレス対策には家ではリラックスして過ごすこと。早寝早起き、お風呂で体を温める、ごはんをきちんと食べるなど、基本的な生活習慣を見直しましょう。唾液量を増やすには、唾液がよく出るようなマッサージもおすすめです。水出し緑茶、納豆や海藻類などの水溶性食物繊維、発酵食品である納豆や 、R-1 乳酸菌入りのヨーグルトなどの食べ物は唾液の質を上げるのに◎ コンスタントに摂ることで、唾液中のIgA抗体を増やすことができます。
まとめ
新生活への不安がまだある中、新型コロナ第7波も心配。5歳以上の子どものワクチン接種が始まったとはいえ、接種を迷うママパパもいることでしょう。見通しが立ちにくいからこそ、できることからコツコツと! 家族で唾液力をきたえて、免疫力アップを目指しましょう。
槻木恵一先生
つきのきけいいち/神奈川歯科大学副学長・大学院歯学研究科長・環境病理学教授。博士(歯学)。プレバイオティクスの一種であるフラクトオリゴ糖の継続摂取による唾液中IgAの分泌量増加とともに、そのメカニズムとして腸管内で短鎖脂肪酸が重要な役割を果たすことをあきらかにし、「腸ー唾液腺相関」を発見。著書に『ずっと健康でいたいなら唾液力をきたえなさい!』(扶桑社)がある。
イラスト/山田美津子