『ポッポーきかんしゃ よるさんぽ』【今日の絵本だより 第240回】
kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。
『ポッポーきかんしゃ よるさんぽ』
とよたかずひこ/作 アリス館 990円
少しずつ秋も深まって、夜の訪れが早くなってきましたね。
秋の夜長、毎日のおやすみタイムはいかがお過ごしですか?
発売中のkodomoe10月号では、巻頭特集内「子どもの睡眠、ホントのところ」で、「おやすみルーティーンにおすすめの絵本」を8冊紹介しています。
毎晩寝かしつけに苦戦中のご家庭には、さらにこちらもおすすめ。
『ポッポーきかんしゃ よるさんぽ』です。
「よるです
いちにち おつかれさま」
夜空の下で、ぐーぐー、すーすーと眠りにつく、きかんしゃさんと運転士のだるまさん。
そんなふたりを優しく見守る、3人のおばけさん。
そこへ、
「しく しく メエ メエ
しく しく メエ メエ
ねむれないよう」
と、こひつじさんが、泣き泣きやってきました。
「しくしく えんえん
しくしく えんえん
ねむれないよう」
と、あかちゃんも、泣き泣きやってきました。
だるまさんは
「よしよし よしよし」
と、ふたりをなぐさめます。
そしてきかんしゃさんに向かって、
「ポッポーくん
よるさんぽで ひとまわり
おねがいね」
さあ、みんなを後ろに乗せて、きかんしゃさんは発車します。
いつもは線路で働くふみきりくんも、途中で一緒に乗り込んで、
「しゅっ しゅっ しゅっ しゅっ カン カン カン
ガタン ゴトン ガタン ゴトン カン カン カン」
泣いていたこひつじさんとあかちゃんは、どうなったかな?
作者は、「ももんちゃんあそぼう」シリーズや、『おにぎりくんがね・・』などの「おいしいともだち」シリーズ(ともに童心社)でおなじみの、とよたかずひこさん。
眠る前の読み聞かせは、疲れた大人には案外大変なミッションだったりもするのですが、とよたさんの絵本はどれも言葉がシンプル、読んでいて気持ちのよいリズム。
絵もお話も温かな愛らしさに満ちていて、心がゆるゆるほどけていきます。
「しゅっ しゅっ ガタン ゴトン」の音に揺られて、親子でひととき、よるさんぽ。
子どもも大人も、みんないい夢が見られますように。
選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。