ロックダウンしたドイツで子どもと話し合った「お母さんは、しんどい」【教えて!世界の子育て~ドイツ~】
海外ではどんな子育てをしているの? 日本から離れて子育てをするママたちに、海外でのようすを教えてもらう「教えて! 世界の子育て」。
場所や文化が違うと、子育ては違うのでしょうか。日本での子育てや生活と同じことや違うこと、各国からリアルな声を伝えてもらいます。
ドイツで子育てをする中原さんは、5歳と3歳の女の子のママ。楽しいイラストを交えて現地での様子を伝えてくれます。
中原さんが暮らすドイツでも、新型コロナウイルスは大きく猛威を振るっています。家族で過ごすおうち時間が続く中、娘さんたちと話し合いの場を持ったり、ストレスをイベントに変える工夫をして過ごされているようです。
ドイツでの
子育てのようすをお伝えします
はじめまして! ドイツに住んでいる中原といいます。長女リンゼ5歳、次女おいも3歳の娘が2人おりまして、旦那のにんじんさんを合わせた4人家族です。ドイツの首都ベルリンから車で1.5時間ほど行ったところにある小さな町に住んでいます。
これからドイツの子育ての様子や暮らしぶりを書かせていただくことになりました。よろしくですー!
ドイツにコロナがやってきた!
さてさて、世界中がコロナウイルスに翻弄されている昨今ですが、ドイツもその例に漏れず対策に追われています。
3月初旬、ドイツにコロナがやってきてからの行政の判断は迅速で、各自治体は即ロックダウンや外出規制の処置を取りました。大型イベントやコンサートなどが全てキャンセルになり、学校が閉鎖になり、生活必需品を扱う店であるスーパー、薬局、ホームセンター、ガソリンスタンド、自転車屋以外の営業は停止になり……必要最低限の外出以外は、在宅を余儀なくされました。
「えっ、なぜ自転車屋はやっているの?」と思われたことでしょう。ドイツでは自転車の活用が推奨されており、メインの移動手段にしている人が多いのです。メンテナンスができないと、生活に支障をきたすという判断なのでしょうね。
子どものストレスも相当だったと思います。お友達にも会えない、習い事にも行けない、公園は立ち入り禁止……。
それでも皆が進んで自粛に協力したのは、ウイルスの危険性と高齢者の多いこの国の特性を認知していたからではないでしょうか。普段は、風邪だろうと花粉症だろうとマスクなんて絶対にしないドイツ人がマスクをしたことも驚きでした。
「自分は大丈夫なんだけどね~うち、ご近所にお年寄り多いから~」「持病のある家族を守んなきゃだししんどいけど家にいようと思うの」「お互い頑張りましょうね、お宅がコロナになったら私買い物行くから、うちがかかったらお願いね!」という、お互いが支え合う声をロックダウン中はよく聞きました。
「お母さんは、しんどい」
あぁ、それでも辛かったです! 日本でも学校が閉鎖になり保護者は阿鼻叫喚の中を過ごしたことでしょう。外へ出れば最低限の買い物は入店規制のため並ばねばならず、我が家は子どもと24時間家にこもり、食事を作る頻度も掃除も洗濯も保育園が閉まり数倍に増えました。
旦那のにんじんさんもホームオフィスになり、今まで晩ご飯だけを4人前作ればよかったのが、朝4、昼4、夜4! 手間が3倍に! さらに、子どもの食事の時間が1時間は掛かってしまうので、1日3食で3時間! あああ……!!!
食べさせたら片付けて、子どもの相手をしながら次の食事の仕込みをして、他の家事をして、作って、食べさせて、片付けて、仕込みして。うおおおおおおおおおおおおお!!!!! もう家事なんて無理ーーー! 片付けも無理ーーーー!
ロックダウンして2週間が経った頃、私は子供たちと話し合いを設けました。
「おかあさんはしんどい。あなたたちはどう?」と、感じていることを打ち明け、どう過ごすべきか話し合った結果、ストレスを少しでも減らすために、教育や生活リズムなどのハードルを下げ『ゆるく生きのびる』ことにしました。
この時期は、同居家族以外と会うことも禁止されていたので子どもをバーバ(義母)に預けることもできず、私も夫のにんじんさんも窒息寸前。せめてもの救いは、ジョギングが生活維持に必要な外出と認められていた点です。交代で走りに行き、外の空気を吸うのが心の慰めになっていました。
1日3食、
食事のストレスをイベントに
ここで外食やデリバリーがあればまだよかったのですが、レストランもずっと閉まっていました。日本のような美味しいお店のお取り寄せもありません。スーパーでは、日持ちするお米はもちろん、パスタやクラッカーなど乾燥させた炭水化物系や瓶詰めのピクルス、トマトソースなどはすぐに売り切れ、パンを焼く時に使うイースト菌も品切れに。
こうなると仕方ないので、あるものを使わねばなりません。小麦粉がある日はうどんをこね、卵が手に入ったらパスタに、蕎麦粉が買えたら韓国冷麺に、野菜が少なかったら食べられる野草を探しました。野草は、食べられる草についての本をめくりながら、子どもとあーだこーだ言いながら、庭で採取しました。
こう書いてみるとなかなかハードですが、実際のところ子どもも私もなんやかんや楽しかったのです。ゆるく生きのびることに決めたおかげで時間に追われずに済んでいました。私がうどんを作り始めると子ども達が生地を踏みにきてくれ、一緒に摘んだ野草でサラダも作りました。
時間はあるし! と普段は触らせない大きな包丁も一緒に握って、特別な体験がたくさんできました。 そしてなにより一緒に居る時間が増え日本語が滑らかになったのが嬉しかったな。
感染の波、また来るぞ!
と、みんなで備える今
約1か月の市内感染者0状態を経て、私の街はロックダウン解除になり、87日間耐えた引きこもり生活は終焉を迎えました。6月中旬も過ぎた今現在は、保育園も学校も本屋もオペラハウスも再開し日常が戻ってきているような感覚を満喫しています。
しかしながら、学校は生徒を班で分けて交代で登校させるなど室内の密度が上がらないようにしていますし、大学はリモート授業を継続。皆が自衛し、距離を取って暮らしており、油断はできないなと感じています
引き続き子どもたちの手洗いとうがいをチェックしつつ、次にロックダウンした時は、どうやって過ごそうかなと考えている今日この頃です。
中原さん
結婚を機に夫の故郷ドイツに来て9年目。趣味はレストラン巡り、庭いじり、手芸などなど。掃除と片付けも趣味になったらいいのになあ……といつも思っています。5歳と3歳の娘たちがいます。#中原ドイツ子育て Instagram @s_vn