『つやっつや なす』【今日の絵本だより 第121回】
kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。
『つやっつや なす』
いわさゆうこ/作 童心社 本体1100円+税
4月17日は、「よ・い・なす」で「なすび記念日」。
(なんですって!)
そこで本日は、なすが主役のこちらの一冊、『つやっつや なす』をご紹介します。
表紙からつやつやすべすべ、思わずなでたくなるようななすが、ころんと3つ。
ページをひらくと、さあ、なす、なす、なすのオンパレード。
「なす いちばんの じまんはね
むらさきでもない くろでもない
なすだけもってる なすのいろ」
確かに! あの奥深い、茄子紺色。
でもなすって、よく見るこの色と形だけではないんですって。
でっぷり太ったみずなす、べいなす。
小さなこなすに、ながなす、まるなす。
白みがかったしろまるなす、緑の丸いピンポンなす、それから、しましま模様のゼブラなす。
日本のなす、外国のなす、たくさんのなすに驚いていると、なぜだか次のページには緑のピーマン、オレンジや赤のパプリカ、真っ赤なトマトが登場。
「ちがう やさい…
なすじゃあないよ
でもね
みんな なすの しんせきなの」
へー、そうなんだ!
その証拠に、花はみんな同じく下向きで、かわいい星の形。
頭にはほら、へたの帽子。
わあ、ほんとだ!!
なす×ピーマンのレシピはよく見かけますが、あれは親戚同士のコラボ料理なんですね。
見慣れたはずの野菜なのに、ページごとに「へー!」「なるほど!!」がいっぱい。
写真ではない手描きの絵だからこそ、読む側の想像力が加わるからでしょうか。
色も形も言葉も、より深く心にしみこんでくる気がします。
『つやっつや なす』をはじめ、いろんな野菜を1冊ずつクローズアップした「どーんと やさい」シリーズは、8冊が発売中。
うちの子の気になる野菜はあるかな?
対象年齢は3歳から、ぜひリンク先をのぞいてみてください。
科学絵本や図鑑絵本にはあまり手が伸びないというママにも、「ぽっこん ぼっこん」「ぽっぽっぽっぽ」など、オノマトペの散りばめられた文章は、テンポよく楽しく読めるのでおすすめですよ。
選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。