絵本で手わたす、大切なこと 後編 〜生きること、世界のこと〜
大切なことほど、直接話して聞かせるだけでは伝わりにくいものです。そんなときにも、絵本はママの心強い味方。生きていく上で必要なことを、さらりと教えてくれます。後編では生きる力を育む絵本や世界のつながりについて教えてくれる絵本を紹介します。 (kodomoe2017年4月号掲載)
編集協力/加治佐志津
「生きる」ってなんだろう
生命の神秘、生きることの意味、避けられない死。いろんな角度から命について考えることで、子どもたちの生きる力を育みましょう。
2歳〜
生まれてくることの神秘と喜び
『ぼくうまれるよ』
たしろちさと/作
アリス館 本体1300円+税
おなかの中にいたカバの赤ちゃんが、お母さんと力を合わせて外の世界へ。カバの水辺での出産と水中哺乳の様子を描いた、命の誕生のお話。生まれてきてくれて、ありがとう!
4歳〜
「死」について語り合ってみよう
『このあと どうしちゃおう』
ヨシタケシンスケ/作
ブロンズ新社 本体1400円+税
死んだおじいちゃんが残したノートを見ながら、おじいちゃんの生前の気持ちに思いを巡らす僕。親子で「死」について語り合うことで、今ある「生」を見つめ直してみませんか。
「自分が親を看取る前に、この絵本があったらよかったな」(杏さん/10歳&7歳女の子ママ)
そのままのきみを愛しているよ
『たいせつなきみ』
マックス・ルケード/作
セルジオ・マルティネス/絵 ホーバード・豊子/訳
いのちのことば社フォレストブックス 本体1600円+税
周りからの評価を気にして自信をなくした木のこびとが、作り主である彫刻家のやさしさに励まされて立ち直ります。誰がなんと言ったって、信じられる愛があれば生きていける。
6歳〜
子どもとお年寄りの素敵な関係
『とっときのとっかえっこ』
サリー・ウィットマン/文
カレン・ガンダーシーマ―/絵 谷川俊太郎/訳
童話館出版 本体1300円+税
ネリーとお隣のおじいさんは、大の仲良し。毎日一緒に散歩を楽しみます。赤ちゃんだったネリーが成長した分、老いていくおじいさん。二人の立場は次第に入れ替わって……。
世界はつながっている
世界と自分とのつながりに気づくことで、見えてくるものがたくさんあります。絵本を開けばほら、さまざまな世界がすぐそこに!
6歳〜
地図の上の遠くの国に思いをはせて
『おとうさんのちず』
ユリ・シュルヴィッツ/作 さくまゆみこ/訳
あすなろ書房 本体1500円+税
食べることすらままならない戦時下、お父さんが市場で買ってきたのはパンではなく世界地図でした。地図を見ることで僕は現実を忘れ、まだ見ぬ世界へと心を羽ばたかせます。
7歳〜
世界には多種多様な人が住んでいる
『せかいのひとびと』
ピーター・スピアー/絵・文 松川真弓/訳
評論社 本体1500円+税
地球上には60億人以上の人がいて、肌や髪の色、顔の形、住む家や食べ物、言葉など、それぞれ違っている。その違いを受け入れ尊重していくことこそ、異文化交流の第一歩。
「子どもはもちろん、大人でも勉強になる。自分自身も出会えてよかった一冊」(sawaさん/9歳女の子ママ)
「いただきます」に込められた思い
『いのちをいただく みいちゃんがお肉になる日』
坂本義喜/原案 内田美智子/作
魚戸おさむとゆかいななかまたち/絵
講談社 本体1400円+税
毎日のように食卓に並ぶお肉はどこから来ているのかな? 食肉解体作業員として働く坂本さんの実体験から生まれたお話で、「命をいただく」ことの意味を考えてみましょう。
8歳〜
はてしなく続いてゆく命のリレー
『せいめいのれきし 改訂版』
バージニア・リー・バートン/文・絵
いしいももこ/訳 まなべまこと/監修
岩波書店 本体1700円+税
地球が誕生したはるか昔から今に至るまで、絶えることなく続いてきた壮大な命のリレー。そのバトンは、今を生きるあなたに手渡されます。1964年初版のロングセラーの改訂版。