
色鉛筆の繊細&濃密なタッチには幼少期から片鱗が? 夢眠ねむさんと、「コドモエのずかん」シリーズが大人気の大森裕子さんが対談。【夢眠ねむの絵本作家に会いたい!・6】
「これからの本好きを育てる書店」を営む夢眠ねむさんが、憧れの絵本作家さんを訪ねる連載第6回。今回のゲストは、「コドモエのずかん」シリーズなどでおなじみの大森裕子さん。美大時代の思い出や絵本作家になったきっかけなど、興味深いエピソードの数々を本誌に続けてweb版で特別公開します。

父親が保管していた2歳頃からの絵をまとめて、自ら1冊のアルバムに。
4歳の時にはすでに絵本を手がけていた! 「『ホッチキスで留めたら絵本になるぞー!』って思って作っていました」(大森さん)
美大に入って何をしたいのか見失ったことも
夢眠ねむ(以下夢眠) 大森さんの小さい頃からの絵をまとめたアルバム、 (中を見ると)これ、お野菜とか葉っぱも、とても5歳の描く葉っぱじゃないです。イメージの絵じゃなくて、5歳で見たものをその通りに描くってすごい。葉脈も、嘘の葉脈じゃないっていう。
大森裕子(以下大森) そうそう。これを描いたときの感覚は今も覚えています。見ると、すっごい楽しかった気持ちがバーッてよみがえってきます。絵を描くことはずっと好きだったので、美大に行きたいと思ったのですが、受験のための絵を描く毎日が続くと、美大に合格すること自体が目的になってしまい、いざ入学したら見失ってたんですよね。自分が何をしたかったのかを。
そうやって自分を失くし、もうわけわかんなくなっちゃったときに、子どもの頃からの自分の絵を振り返ってみようと思って。本当に小さい頃の絵から、小学校で描いたもの、中学校や高校で描いたものなどをアルバムにまとめて。
夢眠 いやいや、すごいなあ。
大森 絵本作家で動物画家の薮内正幸さんの絵を模写したり。見たものを観察して表現するような絵を描いていたとき、本当にすっごい楽しかったのを思い出したんですよ。
夢眠 美大ってやっぱり、入学後に悩みますよねえ。
自分はこんなに頑張って入ったのに、「別にまあ、普通に入っただけだよ」なんてサラッと言う感じの人もいれば、もうなんかどんどん突き進んでる人もいたりして。
大森 そうそうそう。まさに漫画の『ブルーピリオド』(山口つばさ/作 講談社)みたいな状態です。
夢眠 私、見られないんですよ、美大受験の漫画。
大森 うんうん、わかります。苦しいですよね。
夢眠 当時は自分の手にできたタコを見ては、「私、頑張ってるな」って思ってました。私、変な鉛筆の持ち方なんで。
大森 私も、変な鉛筆の持ち方ですよ。
夢眠 (手を見せ合って)あ、でも場所が違う、私ここですね。
大森 私も最初、ここだったの。最近変えたんです、持ち方を。
夢眠 わあ、一緒。でも、このタコを誇りに思ってて。これが減ってくるのが辛くて。「描けてない」みたいに思ったり。
大森 はい。わかります。美大漫画なら『かくかくしかじか』(東村アキコ/作 集英社)とかも、大学入った瞬間に描かなくなる。美大あるあるが詰まってますよね。
夢眠 あれも読めないんです。尖っていた自分の、暗黒時代が邪魔をして。
大森 闇の(笑)。

同じく4歳の時の作品『おにのえほん』では、セリフもたくさん!

4~5歳頃から緻密に描写されていた植物や魚など。まさに「ずかんシリーズ」の原点!
空想しているのが好きな子どもでした
夢眠 でも、大森さんは昔の自分の作品を見て、自分を取り戻されて。
大森 はい、そうですね。
夢眠 このアルバムにある4歳の頃の絵本とかを見ると、もうここから絵本作家ってカウントしてもいいぐらい。当時たくさん絵本を読まれて、その後、自分でも作る感じに?
大森 いやあ、どうだったんでしょう。小さい頃はひとりで空想しているのが好きな子どもでしたね。ブルーナの「うさこちゃん」シリーズの絵本に、自分で上から絵を描いてコラボしてたりとか。
そうだ、なんで絵本の方に進んだかっていうと。大学のときの制作で、一枚の絵で完結するよりは、自然と二枚以上で展開を考えちゃうんですね。たとえば、オタマジャクシがカエルになる、みたいな。
夢眠 対になるっていうか。
大森 そうそう。対とか、続く、みたいな。なんだかんだと作品がそうなっちゃう。そういうのもあって、「絵本、いいなあ」と思った気がします。
その後、大学院に進んだんですけど、知人から「詩画集を出版するので、絵を描ける人を探してる」という話があって。その依頼で絵を描いたんですね。
夢眠 じゃあ、それが最初のお仕事ですか。
大森 そうです。院を卒業する前に就職活動もしてたんですけど、「うーん、なんか毎朝起きて会社に行くって、ムリ?」と思って(笑)。
夢眠 いや、就活をしただけ偉いですよ。私、就職率30%の学科で、ちゃんと70%の側に入ったので(笑)。
大森 (笑)。なので、卒業後はイラストレーターとして仕事をして、出版社に作品を持ち込んだりする中で、『よこしまくん』(偕成社)が、絵本のデビュー作になりました。夫がモデルの、ちょっとよこしまな性格のフェレットが主人公です。


































