2025年11月4日

かわいいけどクセ強なキャラクターで、絵本の世界でも大人気! 夢眠ねむさんが、キューライスさんと対談。【夢眠ねむの絵本作家に会いたい!・5】

「これからの本好きを育てる書店」を営む夢眠ねむさんが、憧れの絵本作家さんを訪ねる連載第5回。
今回のゲストは、マンガ家、アニメーション作家、絵本作家として多彩に活動中のキューライスさん。
大盛り上がりの創作トークを、本誌に続けてweb版で特別公開します。

かわいいけどクセ強なキャラクターで、絵本の世界でも大人気! 夢眠ねむさんが、キューライスさんと対談。【夢眠ねむの絵本作家に会いたい!・5】の画像1 SNSで人気となり書籍化した「ネコノヒー」シリーズは、5巻まで発売中。キューライス/作 KADOKAWA 1100~1210円

出会いはCMディレクター時代に遡る!

夢眠ねむ(以下夢眠) 実はキューライスさんの会社員時代に、私が所属していたグループ「でんぱ組.inc」で、キリンメッツのCMを撮っていただいてたんですよね。

キューライス(以下キュー) そうなんですよ。そのとき東北新社でディレクターをやっていて。といっても駆け出しなので、CM本編ではなくメイキング担当で、撮影して編集して。

夢眠 すごい。あれがもう10年前ですかね。

キュー すごい大変なCMでしたよね、ワイヤーアクションしたりして。で、それがきっかけで……。

夢眠 会社を辞めて(笑)。

キュー いや、違います(笑)。それがきっかけで、でんぱ組.incの曲を聴くようになって。

夢眠 えっ、ありがとうございます。よかったー。ヒヤヒヤしました、うれしいです。

キュー だから今日は本当にお会いできてうれしくて。呼んでいただいて、光栄です。

夢眠 私はキューさんのことは、姉を通じて知ったんです。姉が『ネコノヒー』(2015年ブログ掲載開始)からずっと、めっちゃキューさんファンで。LINEスタンプとかも全部キューさんになって。

キュー 『ネコノヒー』、もう本当に初期から。

夢眠 私も姉の家でマンガを読んだりして、そこから好きになってるんです。
本誌でもうかがいましたが、キューさんは中学では美術部で、ひとりで七宝焼を焼いていて(笑)、高校からもう美術専門の科に進学されて。

キュー そうです、栃木の作新学院の美術デザイン科っていうところに進んで。2クラス合わせても男子が7人ぐらいしかいないので、お昼になると男子だけ追い出されてベランダでお弁当食べる、みたいな。
高校では油絵を専攻していたので、主に油絵とかデッサンをやってたんですけど。

夢眠 そのときに先生に見せてもらった、シュヴァンクマイエル(※)の映画に大きな影響を受けたとか。
※シュヴァンクマイエル…ヤン・シュヴァンクマイエル。1934年チェコスロバキア(当時)生まれ、アニメーション作家・映画監督。

キュー そうです、シュヴァンクマイエルの映画を観て、「わあ、こういうの作りたい!」と思って。で、使ってない教室に勝手に暗幕を張ってスタジオみたいにして。放課後一人で残って撮影する、仲間ひとりもいない、みたいな。

夢眠 七宝焼部再び、みたいな(笑)。

キュー そうですね。で、もう大学はその作品を持って、自己推薦で東京造形大学に。

夢眠 プレゼン勝負ですね。

キュー そうです。作ったアニメーションをビデオカメラで見せて、「こんなんやりたいです」って言って面接官を説得して、入学できて。

夢眠 で、そのまま黙々と作り続け。

キュー はい。大学では基本的にアニメーションを作りまくって。
その後いろいろあって東北新社に入社して、ディレクターをやって。で、なんやかんやあって、マンガ家になりました。

SNSのマンガがバズって作家デビュー

夢眠 マンガ家になったきっかけは何ですか。

キュー とにかくアニメーションしか作ってこなかったので、土日とか休みの日とか、他にすることがなかったんですね。だから仕事で、CMの編集作業で待ち時間がすごい長いときとか、勝手に自分のアニメーションを考えたりしていて。
ただ、やっぱり本名で創作活動をしていると会社員としてあれかなと、なんとなく別の名前をつけようと思って。
落語が好きだったので、「死神」っていう落語に「アジャラカモクレン、キューライス、テケレッツのパー」っていう呪文を唱えると死神が逃げてくっていうお話があるんですけど、その中の「キューライス」っていう語感が気に入ってたんで、これでいいやって。
その名義で、マンガも描いてみようと思ったんですよ。それまでマンガ描いたことなかったんですけど、絵コンテが描けるならマンガも描けるだろうと。

夢眠 アニメーションからの流れじゃなくて、CMの絵コンテからの流れでマンガなんですね。確かに絵コンテ、コマの絵ですもんね。

キュー そうなんです。で、マンガの単行本が出ることになった段階で、それはもう会社にバレちゃうんで、会社に残るか辞めるかの二択になって。で、もう本当に断腸の思いで会社を辞めたんです。基本的にすごく心配性なので、「いや、マンガ売れなくなったらどうしよう」っておびえながら。

夢眠 「給料出ないの、大丈夫かなあ?」という不安が。

キュー そう、基本給なしだよっていうのがすごい怖かったんですけど。そこは思い切って、新たな世界に飛び込む覚悟で辞めて。で、そこからもう8年ぐらい経って、今のところは細々ですが食べていけていますね。

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