2025年5月7日

食べ物からうんちまで――。「食べ物と人」をテーマに描くイラストユニット。夢眠ねむさんが、はらぺこめがねさんと対談。【夢眠ねむの絵本作家に会いたい!・2】

食べ物からうんちまで――。「食べ物と人」をテーマに描くイラストユニット。夢眠ねむさんが、はらぺこめがねさんと対談。【夢眠ねむの絵本作家に会いたい!・2】の画像3

◆輝きは、なんでもない日常の中にある

――デビュー当時にくらべて、絵は変わりましたか?

 変わってると思います。

原田 変えてる。多分各々のタッチも、変わってる気はするし。

 私、変わってるかな、大丈夫かな(笑)。

原田 うん、わからん(笑)。
まあ、根本は多分変わってないけど、作風っていうか、最初は、頭に何かをのせてる絵が多かったんやけど、最近あんま描かへんね。

 そう、描くのは食べ物が多くなった。

原田 より日常を描くように。

 あ、そうそう。そこが一番変わったかもしれない。

原田 コロナ禍以降は、そうかも。

夢眠 昔の方がもうちょっと、デザイン的だった。

 そうそう、そうかも。

原田 とか、ちょっとポップやったような。アート寄りというか。

 そう。なんか、食べ物をきれいにかっこよく描こう、みたいにちょっとしてたのかもしれない。
でも多分、自分たちがそういう性格じゃなかったというか(笑)。
自分たちの生活とつながってるっていうのが、頭でわかっていたようでわかってなかった、みたいな感じだね。

夢眠 でも確かに、より本当に食べられそうなものになってきてるかも。

原田 なんかその方が、描くのが楽しくなってきた。

 そう。ハレとケだったらハレじゃない方、日常のなんでもない方に、めっちゃめちゃキラキラした何かがあるんだなって。
だからそんな背伸びしていろんなものを見に行かんでも、ここにあったなあみたいな感じ。
多分コロナ禍で、それに気づいた。

◆大人は感動、子どもは笑える「うんち」

夢眠 それまでもすごいおいしそうなもの描いてたけど、『たべて うんこして ねる』(岩崎書店)はすごく大きな契機でしたか。

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『たべて うんこして ねる』
はらぺこめがね/作 岩崎書店

原田 そう。あれを作ろうと思ったきっかけは、コロナ禍なんです。

夢眠 あれが結構「ごはん」フューチャーっていうよりは「暮らし」フューチャーのイメージですよね、軸が。

原田 そうそう。本当にその通りでございます(笑)。あのときぐらいから。

夢眠 ごはんを描く作家さんとしては、結構革命的っていうか。
だって、うんこだよ!?

原田 そうそうそう。

 アハハハ。

夢眠 食べたものがちゃんと体を通って出てるっていうことが暮らしだよ、みたいな。健康そのもの。
だって、子どものうんちのチェックしますもんね、親になると。

 そう。子どもが生まれたのも大きいね。
もう、うんちが愛おしくて愛おしくて。

夢眠 わかる!

原田 子どものね。そうそう、本当にそう。

 一日の気分がもう、そのうんちで決まるって言っても過言ではない。
いまだにそうだもん。「すごいの出たよ、いいの出たー!」って言ってくれるし。

夢眠 うんちを「いいの出た」って言える家が、一番いいよね。
「こんな!」みたいなね。

原田 うん。「めっちゃいいの出てるよ」って。

 「やったー!」みたいな。
それまでもずうっと昔から、いつか「うんち」はやりたいと思ってたんや、絵本として。
私、『みんなうんち』(福音館書店)がめっちゃ大好きで。
「こんな絵本作りたい」って思ったけど、なんか全然うまく考えられなくて。
子どもが生まれて、コロナ禍になって、生活がなんかこう、より自分で実感としてわかるようになって。

夢眠 でも、「子どもって『うんち』って言ったら笑うでしょ」っていうタイプの本じゃなくて、本当に必要なうんちとしての描かれ方。ギャグじゃないうんち。

 だから大人からは、「めっちゃ感動した!」って言われる。

夢眠 感動のうんち。

 でも子どもは笑うんですね。

夢眠 うんちで泣ける歳になった大人と、うんちで笑ってる子どもたちの対比かもしれないねえ。

 そう。そうだねえ。本当、どの年代でもうんちっていうのは、なんかこう、フックになってる(笑)。

夢眠 めっちゃいい話だ。

 めっちゃいい話だね(笑)。

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夢眠ねむ
ゆめみねむ/2019年、下北沢に予約制の書店「夢眠書店」をオープン。U-NEXTkids「ねむるま えほん」の企画監修・選書を担当。著書に『本の本』(新潮社)『夢眠書店の本棚』(ソウ・スウィート・パブリッシング)など。一児の母。
Web:https://yumemibooks.com/
X:@yumeminemu
Instagram:@yumemibooks

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はらぺこめがね
はらぺこめがね/原田しんやと関かおりによる夫婦イラストユニット。「食べ物と人」をテーマに、絵本や挿絵、ワークショップなど幅広く活動。kodomoe付録絵本発の絵本に『ごはん山』『おにぎり ばく!』(白泉社)がある。

Web:https://harapekomegane.com/
X:@harapeko_megane
Instagram:@harapekomegane_shinya

撮影/大森忠明 ヘアメイク/光野ひとみ 編集協力/原陽子

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