2025年5月31日

子育てが苦しいのは、子どもとの関係より「周りからの目」があるから? 子どものことを「親の責任」とは考えないドイツの社会【日登美のタベコト in Berlin・100】

 ベルリン在住で6人の子どものお母さん。モデルとして活躍する傍ら「台所から子育て、暮らしを豊かに」をコンセプトに、オンライン講座とウェブサイトを主宰している日登美さんによる、「食」からはじまるエッセイです。

ドイツ式子育て

子育てを長年してきて、気づいたことがあります。それはお母さんがなんでもやらないでいい! ということ。実はこれってドイツのお母さんたちの間では結構スタンダード。とかく「親の責任」と言われがちな日本の子育てですが、ドイツではなんでも自己責任。だから子どもだって小さいうちからなんでも自分でできないと、困るのは自分。親ではないのです。

でも確かに、親が立ち回ってなんでもしてあげるより、少々転んでも失敗しても、周りの大人が子どもってそういうもんだからっていう温かな目で見守ってくれさえすれば、子どもはあっという間にどんどん自分でできるようになってしまうものなんですよね。その方がお互い楽なんじゃない?って思います。

料理もどんどんやってもらおう。お母さんが全部できないからこそ、子どもはできるようになったりもするんだから。

シングルマザーで子どもに手がかけられないとか、仕事で忙しくてというお母さんの子どもなんかも、かわいそうというより、早く自立できて偉いね! と褒められちゃう感じすらあります。それは子どもを放ってやらせればいい、という意味ではないのですが、親ができないことで肩身の狭い思いをすることがない。そういうのを見ていると、結局子育てって、子どもとの関係というより、周りのジャッジメントが親を苦しめているような気もします。だからこそ、このドイツ式子育ては大人にとっても子どもにとってもいい気がするんですよね。

家族の中で出来ることがある、責任を持ってやるべき仕事があるって学童期の子どもの心と脳の成長を助けるのだそうですよ。

子どもってお母さんとお父さんの育て方というだけでは育たなくて、子どもを見守っている社会、そして大人たちが「子ども」という存在をどのように受け入れ、受け止め、育んでいく責任があると感じて行動しているのか? ということが大きく関係するように思います。

お母さんが全部やらないといけない、と思っているのは、そういうふうに日本社会がお母さん(または親)に要求しているからだけかもしれません。

姉妹で一人暮らし中の娘たちの自炊生活。自分でできることがあるって自由でいいよ。どんどんやらせよう。

本当に子どもを自立させたいなら、子どもの失敗を見守る余裕が社会全体にないと成り立ちません。そしてはっきりと、いけないことはいけない、と感情で怒るのでなく、注意ができる周りの大人の態度も必要です。その辺のコミュニケーションのあり方はドイツはとっても成熟しているなと感じます。つまり社会全体で子育てをしていると感じられることが多いのです。

日登美/ひとみ
3男3女6児の母。10代よりファッションモデルとして雑誌、広告等で活躍。その後自身の子育てから学んだ、シュタイナー教育、マクロビオティック、ヨガなどを取り入れた自然な暮らしと子育てを提案した書籍、レシピ本など多数出版。現在はモデルとして活躍する傍ら、オーガニック、ナチュラル、ヘルシーをモットーに、食、暮らしと子育てのワークショップ、オンライン講座などを行う。 

台所から子育て、暮らしを豊かに。「Mitte(ミッテ)
instagram / @hitomihigashi_b
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