夕飯の残りを置いておくと、朝にはカラに。思春期時代の息子たちのごはんは、野生動物捕獲の罠のようでしたが、今や…【日登美のタベコト in Berlin・87】
ベルリン在住で6人の子どものお母さん。モデルとして活躍する傍ら「台所から子育て、暮らしを豊かに」をコンセプトに、オンライン講座とウェブサイトを主宰している日登美さんによる、「食」からはじまるエッセイです。
気がつけば台所で
先日の我が家の台所。気づいたら双子の息子と夫が何やらそれぞれに料理をしています。夫は夕飯のピザ生地を発酵させていて、双子らは自分達の食べたいパスタを製作中でした。
こんなふうにいつからか、気がつけば我が家の子どもたちは台所で美味しいものを自分で作るようになりました。だけど、最初からそうだったわけではありません。
思春期の頃は家族と一緒にご飯もろくに食べないし、目も合わせてくれない。食卓の上に冷めた夕飯の残りを置いておくと、朝になったらカラに……、という、まるで野生動物捕獲のための罠のような食事のとり方だったのに。そう思うと、この健全な台所の風景に涙が出てくるほどですね(笑)。
思春期の子どもたちの食卓は、きっと理想的にはいかないかと思います。けれどあまりそういうことに、めくじら立てる必要はありません。
ハリウッド映画のような円満な食卓を囲めない我が家は荒んでる! などと嘆かず、むしろ冷たい食卓が思春期の食卓では当たり前! くらいの安心感で、どーんと構えていたらいい。今だけだから、大丈夫。
小さい頃から一緒にお料理したり、美味しいものを作って食べた記憶はありますか? そういう時間はきっとなくならないので。いつかまた自分で作れるように、作りたくなるようになるもの。
食育のポイントは出だしです。最初だけしっかり押さえれば、あとは少しずつ手を離して。お母さんが完璧にいつまでもやり続けない方がいい。ずっとお母さんが頑張るより、途中で子どもに手渡していく。ちょっといい加減なくらいが子どもって育つのかもしれませんね。
日登美/ひとみ
3男3女6児の母。10代よりファッションモデルとして雑誌、広告等で活躍。その後自身の子育てから学んだ、シュタイナー教育、マクロビオティック、ヨガなどを取り入れた自然な暮らしと子育てを提案した書籍、レシピ本など多数出版。現在はモデルとして活躍する傍ら、オーガニック、ナチュラル、ヘルシーをモットーに、食、暮らしと子育てのワークショップ、オンライン講座などを行う。
台所から子育て、暮らしを豊かに。「Mitte(ミッテ)」
instagram / @hitomihigashi_b
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