「ていねいな生活」は妄想。家の中が散らかっていたって、それが暮らしってもんです【日登美のタベコト in Berlin・84】
ベルリン在住で6人の子どものお母さん。モデルとして活躍する傍ら「台所から子育て、暮らしを豊かに」をコンセプトに、オンライン講座とウェブサイトを主宰している日登美さんによる、「食」からはじまるエッセイです。
ドイツの食卓の日常
巷では、ていねいな生活や、手の込んだ家庭料理がもてはやされておりますが、子どもが6人(と言ってもそのうち4人はすでに成人ですが!)も一緒に住んでいる我が家では、そんな理想はとっくに手放しております。
そしてここドイツでも、日本で人気のていねいな生活や、手の込んだ料理なんかは、特に誰も憧れたりしていません。そんなのは「雑誌の中だけの妄想」とすっかり割り切って、気楽にのんびりした時間を楽しむ。そんな暮らしのゆとりの方が、見栄えの良さや豪華な食事よりも重視されるのは、質実剛健なドイツらしい考え方かもしれませんが、我が家にはしっくりくるので気に入っています。
友達の家に遊びにいったって、家の中がはちゃめちゃに散らかっている、なんてのは当たり前。でも「ごめんね、掃除してなくて」なんてエクスキューズは無用。ありのままでいいのです。だってそれが暮らしってもんでしょ?恥ずかしがる必要なんてないのです!
ドイツでは共働きが基本なので、お母さんも忙しい。子育てに仕事に、っていう日常で、片付いているなんて無理。ご飯だって作れなくて当たり前。仕事してなくたって、子どもとの生活で家が片付いている方がおかしいわよ、と堂々と言ってくれる、というかむしろそんなことは誰もテーマにすらしないことの方が多い。
そんなドイツの「見栄えにこだわらない、暮らし」。これは日々をうんと楽にしてくれます。だけど全てがはちゃめちゃってわけじゃない。質を大事にするのがドイツ式。暮らしの質、日々の本当の豊かさをどこに置くか? を考える。台所だって、食卓だって、まずはそこに立ちかえるとすごくシンプルになってくる。
お弁当も日頃の食卓も、手の込んだこと、バラエティにこだわりすぎない。見え方を気にしすぎないでいいんだよ! ドイツはやや見栄えを気にしなさすぎる感もありますが(笑)、それくらいがちょうどいいのかもしれません。
日登美/ひとみ
3男3女6児の母。10代よりファッションモデルとして雑誌、広告等で活躍。その後自身の子育てから学んだ、シュタイナー教育、マクロビオティック、ヨガなどを取り入れた自然な暮らしと子育てを提案した書籍、レシピ本など多数出版。現在はモデルとして活躍する傍ら、オーガニック、ナチュラル、ヘルシーをモットーに、食、暮らしと子育てのワークショップ、オンライン講座などを行う。
台所から子育て、暮らしを豊かに。「Mitte(ミッテ)」
instagram / @hitomihigashi_b
音声プラットホームvoicyで「日登美のイロイロ子育てラジオ」発信開始!