子どもの服もめったに洗いません。食事も洗濯も「まとめてやる」のがドイツ式【日登美のタベコト in Berlin・77】
ベルリン在住で6人の子どものお母さん。モデルとして活躍する傍ら「台所から子育て、暮らしを豊かに」をコンセプトに、オンライン講座とウェブサイトを主宰している日登美さんによる、「食」からはじまるエッセイです。
まとめてやる、みんなでやる
ドイツに来て覚えた家事の裏技は、まとめてやる、ということでした。例えばドイツの家庭では、いちいち部屋を片付けたり、毎日掃除機をかけたりしません。もし掃除をするとしたら、とことん散らかしまくってから、まとめてやる。
「どうせ今やっても、また遊んでちらかるじゃん」と思えば全く片付けません。なぜならそれは合理的ではないからです。
みなさんご存じの食器洗い機だって、ほぼどこの家庭にも標準装備ですが、それも「まとめて」やるためのもの。もちろん節水でもありますが、とにかくいちいち片付ける、洗う、掃除する、というのは非合理的なので、ドイツの家庭では好まれないように思います。
なんなら子どもたちの洋服だって、めったに洗いません。冬の上着なんかたぶん1回も洗ってなくない? という方も多々見かける。洗えば生地が傷むし、長持ちしない。どうせまた汚れるしというのもあるけど、洗わないでも使える質のいい雨具や防寒具というのが好まれる傾向。そこにはお金をかける、というメリハリがあるのもドイツ式。
ともあれ、なんでもこまめに、ではなく「まとめて」行う方がエネルギーも時間も節約できてエコでもありますよね。もちろん、好き嫌いはあるかもしれませんが、なんでもその都度やって綺麗な状態を保ち、ご飯も3度新たに作る日本のあり方を、現代社会でお母さん一人に負担させるのはどう考えても合理的ではない! とドイツの暮らしを見ていて思います。
ドイツでは昔から村に一つパン屋があって、基本そこのパン窯で村人全員のパンを焼いていたとか。確かに各家庭で作るより省エネでもあるし、便利でもある。だから今でも主食なのにパンを家で焼く人は少なく、基本的には店で買ってくるものになっています。
日本でも味噌や醤油は昔は村単位で作っていたというし、そういう共同作業とか、みんなでまとめてやるって、実は今の時代にフィットするんじゃない? と思ったりもします。
核家族が多くなって、子育ても食事も一人でなんでもやらねばならない時代。みんな忙しくて時間がない! という余裕のない時代。個人主義は自由ではあるけれど、あらゆる意味で消費するエネルギーが無駄になるし、負担も多くなる。だからこそ、いま、まとめてやる、みんなでやる。というドイツ式の暮らしから学ぶところは多いかなと思うのです。
日登美/ひとみ
3男3女6児の母。10代よりファッションモデルとして雑誌、広告等で活躍。その後自身の子育てから学んだ、シュタイナー教育、マクロビオティック、ヨガなどを取り入れた自然な暮らしと子育てを提案した書籍、レシピ本など多数出版。現在はモデルとして活躍する傍ら、オーガニック、ナチュラル、ヘルシーをモットーに、食、暮らしと子育てのワークショップ、オンライン講座などを行う。
台所から子育て、暮らしを豊かに。「Mitte(ミッテ)」
instagram / @hitomihigashi_b
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